贄と呼ばれた少女の、幸せ

 朝起きて、少女は食べるものがどこから来るのかを探してみようと思った。自分で食べ物を取ってこれるようになれば、もし少女の存在が忘れられても飢えずにすむと思ったからだ。空腹は辛い。あのひもじさを思い出すと、落ち着かないほど不安になった。ここにはあの素晴らしい果樹がないのだから。

 少女が部屋を出ると、少し先に食事トレーを運ぶ女が見えた。遅かったのだ、と少女は肩を落とした。

「ニエが、もっていく」

 少女は顔を上げ、女に話しかける。相手は、昨晩の女だった。

「こぼされたり、食器を壊されたら迷惑だから、部屋で待っていなさい」
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