贄と呼ばれた少女の、幸せ


 そんな日々を幾度も繰り返した。少女は、人の顔や話している言葉、やっている事を毎日観察するようになった。

(ちゃんとできるように、したい)

 少女は、知ることに飢えていた。少女は毎日毎日、少しずつ他人がやっていることを覚えていく。どこへ行っても少女は無視をされるか嘲笑されるかのどちらかで、少女に何か教えようとする人間はいない。それでも少女はいろいろな場所に赴いた。それを咎める者もいなかった。

 少女はいろいろな場所でたくさんの人を見かけたが、なぜか、少女に雑巾を投げつけた女はどこにも見かけなかった。

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