贄と呼ばれた少女の、幸せ


 §


「あなたのせいよ!!」

 少女の部屋を訪れたメイド長は、酷く取り乱していた。

「あなたのせいよ……! 何なのよ、いい加減にしてよ!!」

 メイド長は腕を大きく振り上げ、少女の頬を張り飛ばす。少女はどっと倒れこみ、床に手をついた。

「アニーが、私が、何をしたって言うのよ! どうしてこんな目に合わなきゃいけないのよ!!」

「アニーが……?」

 聞き捨てにできない言葉だ。少女は床に手をついたまま、答えを知ろうとメイド長の顔を見上げる。

「……アニーがどこにいるのか知りたかったら、ついてくるといいわ」

 メイド長は引きつった笑みを浮かべて、(きびす)を返して歩き始めた。

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