贄と呼ばれた少女の、幸せ
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「あなたのせいよ!!」
少女の部屋を訪れたメイド長は、酷く取り乱していた。
「あなたのせいよ……! 何なのよ、いい加減にしてよ!!」
メイド長は腕を大きく振り上げ、少女の頬を張り飛ばす。少女はどっと倒れこみ、床に手をついた。
「アニーが、私が、何をしたって言うのよ! どうしてこんな目に合わなきゃいけないのよ!!」
「アニーが……?」
聞き捨てにできない言葉だ。少女は床に手をついたまま、答えを知ろうとメイド長の顔を見上げる。
「……アニーがどこにいるのか知りたかったら、ついてくるといいわ」
メイド長は引きつった笑みを浮かべて、踵を返して歩き始めた。