贄と呼ばれた少女の、幸せ
「予想外の大事だなあ……こんなのまさかだろ」
ヒースクリフもまた、弱々しく怯えきった少女が巻き込まれたあまりの事態に胸を衝かれる。
「予想外にも程がある……! 『特別な材料』とはまさか私の娘か……ッ!」
ジルベルトはあまりの怒りにギリギリと拳を握りしめた。拳を震わせ、ジルベルトはヒースクリフに苛烈なまなざしを向ける。
「正式な名と材料……管制されている情報がでた以上信憑性は高いが、私はまだ大きく動けん。……ヒースクリフ、頼めるか」
冥界の門が真実開くとすれば、国家の存続すら危ぶまれる。その名が出た以上対策を講じないわけにはいかないが、ジルベルトが自ら動くということは『辺境伯が他領に挙兵する』ということだ。ふたりは少女がもたらした情報を真実だろうと判断しているが、裏取りをしている猶予はない。ジルベルトが即座に動くことの強引さを考えると、とれる手段は限られていた。
しかし、とれる手段のその最善手が、ここにいる。