贄と呼ばれた少女の、幸せ
「あの子はどうしてる?」
「……君が出た後すぐに昏倒して眠り続けた。限界だったんだろう、無理もないことだ。家の者に命じて、客室に寝かせ様子を見させていた」
何かあったのか、とヒースクリフはジルベルトを見つめ視線で続きを促した。
「意識を取り戻してから、怯えきっていて誰も近寄れん。どうも、話を聞く限りはお仕着せを着た人間が恐慌の引き金だ。余程のものを見たのだろう。門が誰か喰うところでも見せられたか……娘も彼女に謝りたいと言ってきたがな、人を近づけるのはあまりに哀れで止めている」
ジルベルトは一度言葉を区切り、重たい息を吐く。
「ここに置いておくのは不憫だ。どうしても使用人が目に入るからな。しかしあの状態では金を持たせてどこかへ出すこともできん。ヒースクリフ、君は彼女をどうするつもりだ?」
「……それは、あの子と考えるよ」