気の赴くままに

第6話 小説「Music hero」

40代後半になっている会社員のユウイチは、相変わらず、職場に居ても、出世できず、相変わらず、お酒は飲めないわ、クルマの運転は苦手だし、また、異性の社員の前にいたら、しどろもどろになっている。

 時は、2026年2月。

 世間では、もう、衆議院議員がある。

 今度は、誰に居れようかなんて職場で話をしているが、最近の物価高。なかなか、解消されない。

 今、日本は、女性の新しい首相になっていて、ここの職場でも、男性社員よりも、女性社員の方が、活気がある。

 男性社員は、休み時間になると、みんな、ゲームをしている。

 ユウイチは、最近、ゲームをしていない。

 それよりも、平社員のまま、よくここの会社にいたなぁと思っている。実は、女性社員にすらうだつが上がらないユウイチは、気が弱い。

 身体だって、ひ弱そうに見えて、とてもラグビーとか野球に無縁な感じだった。

 しかし、ある時、15歳も年下の女性社員のサヤカが、業を煮やしてこう詰め寄った。

「横口さんもたまには、何か歌ったら?」

 いつも気の強そうな女性社員が、5人、歌っている。宇多田ヒカルとか倖田來未とかモーニング娘を歌っている。彼女たちは、みんな、子持ちの奥さんで、共働きだが、ストレス発散のため、お金のかからない遊びを、職場の休憩時間にしている。

「横口君も歌いなさいって」

 と誰かが強くいつももように言ったら

ーはばたいたら戻らないと言って

 といきなり、ユウイチは、大声で歌い始めた。

ー目指したのは、白い白いあの雲

 とユウイチは、振り付けで歌い始めた。プロモーションの動画の例のバンドグループのボーカルの真似をして歌っている。

 そして

ーまぶしすぎた

 とユウイチが、歌うと、アグレッシブな回転まで入った。

 いきものがかり「ブルーバード」が、終わると、拍手が出た。

「上手かった」

とみんなは、言った。

「横口君、もっと自信を持って」

と彼女たちは、言った。

 サヤカは、何も言えなかったが、3時の休憩の時、

「これ、あげるよ」

 と、プリッツを一箱あげた。

「ねえ、どうして、いきものがかり「ブルーバード」、上手いの?」

「歌手になるのが、夢だったんだ」

 と言った。

「今度、もう一回、あのいきものがかり「ブルーバード」を歌ってくれる?」

「アカペラで良いからさ、動画撮りたい」

 と言った。

 その週の日曜日、選挙の投票が終わった後、公園で、ユウイチは、いきものがかり「ブルーバード」をアカペラで歌った。サヤカは、スマホで動画撮影をした。その日は、昼からずっと、ユウイチとサヤカは、食事へ行ったらしい。

 
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