呪われた聖女は運命を覆したい
私と同じ人
まさか、この人が第四王子殿下だったなんて。
殿下は過去では、社交界には一度も出席していなかった。
理由は単純。
黒魔法を使う「呪われた王子」だから。
皇族であり魔力量が桁違いであるため、呪いの紋様は私と同じように隠すことができる。
だから、私も気がつかなかったのだ。
見たこともない彼を、第四王子殿下だとわかるわけがない。
そして殿下は、離宮に幽閉されていると聞く。
暴君であるため、両陛下からも忌み嫌われていると。
実際そうなのだろう。
初対面の私に、いきなり剣を向けてきたのだから。
「また俺に情報通知はなしか?客人は許可を得てからのはずだ」
両陛下にこの言葉遣い…相当大変ね。
皇宮の情報は、一度第四王子殿下を通じなければいけない。
情報整理は彼の仕事なのだ。
「私たちが招待したのだ。問題なかろう」
「…どうせまた、俺を除け者にしたいだけだろ」
皇帝陛下の言葉に、殿下はそう呟いた。
この人も私と同じなんだ、とその言葉にハッとした。
呪われた子だから、自分は除け者にされる。
「もういい。次から気をつけてくれ」
殿下は両陛下を睨み、部屋を出て行ってしまった。
私はなぜか、彼を追いかけなくてはと思ってしまった。
ただ単純に彼が気になっただけかもしれないが。
「両陛下、申し訳ありません。一度席を外しますわ。お話は、戻ってきてからでお願いいたします。それでは、ごきげんよう」
両陛下に一度礼をした後、私は殿下に続いて部屋を出ていった。
***
「第四王子殿下」
私は彼の姿を見つけるなり、その背中に声をかけた。
殿下は勢いよく振り返り、冷たい視線を私に向けた。
「なんだお前。どうして俺を追ってきた」
「え、えっと…」
追いかけなくてはいけない気がした、と言ってもおかしいと思われてしまうわ。
私が答えるのに悩んでいると、背後から嫌な声が聞こえた。
「ムク様ではないですか。本日が謁見日だったのですね」
「ア、アラン様…。ごきげんよう」
私はアラン様にぎこちない笑顔を向けた。
なんでよりにもよって、このタイミングなのかしら。
アラン様は私に詰め寄って言った。
「ムク様、私との婚約の件は考えていただけたでしょうか」
「え、ええっと…」
どうしよう。
アラン様と婚約する気はないけど、この状況じゃ断りにくいじゃない!
どうにかして、しのぐ術は……。
私は隣に立つ殿下に視線をうつした。
とっさに思いついた、私の考えは——。
「じ、実は殿下と婚約するのです。ですから、申し訳ありません」
そこまで言って、私は内心汗ダラダラだった。
殿下は私をどう見ても嫌っているし、私の味方はしてくれないだろう。
お願い、どうか私を助けて…!!
そんな私の願いは届いたのだろうか。
殿下はアラン様に言った。
「そうだ。こいつは俺と婚約する。残念だったな、アラン」
そう言って私を引き寄せた。
う、嘘…!味方してくれた!
よくわからないけど、とにかくいい状況へと転がった。
これなら、アラン様の婚約を断る十分な理由になるだろう。
私は少しだけホッとした。
アラン様は殿下を睨んだ後、私に笑いかけながら優しく言った。
「ムク様、どうかお考え直してください。それでは、私はこれで失礼します」
それだけ言って、アラン様は私たちの横を通り過ぎていった。
殿下は過去では、社交界には一度も出席していなかった。
理由は単純。
黒魔法を使う「呪われた王子」だから。
皇族であり魔力量が桁違いであるため、呪いの紋様は私と同じように隠すことができる。
だから、私も気がつかなかったのだ。
見たこともない彼を、第四王子殿下だとわかるわけがない。
そして殿下は、離宮に幽閉されていると聞く。
暴君であるため、両陛下からも忌み嫌われていると。
実際そうなのだろう。
初対面の私に、いきなり剣を向けてきたのだから。
「また俺に情報通知はなしか?客人は許可を得てからのはずだ」
両陛下にこの言葉遣い…相当大変ね。
皇宮の情報は、一度第四王子殿下を通じなければいけない。
情報整理は彼の仕事なのだ。
「私たちが招待したのだ。問題なかろう」
「…どうせまた、俺を除け者にしたいだけだろ」
皇帝陛下の言葉に、殿下はそう呟いた。
この人も私と同じなんだ、とその言葉にハッとした。
呪われた子だから、自分は除け者にされる。
「もういい。次から気をつけてくれ」
殿下は両陛下を睨み、部屋を出て行ってしまった。
私はなぜか、彼を追いかけなくてはと思ってしまった。
ただ単純に彼が気になっただけかもしれないが。
「両陛下、申し訳ありません。一度席を外しますわ。お話は、戻ってきてからでお願いいたします。それでは、ごきげんよう」
両陛下に一度礼をした後、私は殿下に続いて部屋を出ていった。
***
「第四王子殿下」
私は彼の姿を見つけるなり、その背中に声をかけた。
殿下は勢いよく振り返り、冷たい視線を私に向けた。
「なんだお前。どうして俺を追ってきた」
「え、えっと…」
追いかけなくてはいけない気がした、と言ってもおかしいと思われてしまうわ。
私が答えるのに悩んでいると、背後から嫌な声が聞こえた。
「ムク様ではないですか。本日が謁見日だったのですね」
「ア、アラン様…。ごきげんよう」
私はアラン様にぎこちない笑顔を向けた。
なんでよりにもよって、このタイミングなのかしら。
アラン様は私に詰め寄って言った。
「ムク様、私との婚約の件は考えていただけたでしょうか」
「え、ええっと…」
どうしよう。
アラン様と婚約する気はないけど、この状況じゃ断りにくいじゃない!
どうにかして、しのぐ術は……。
私は隣に立つ殿下に視線をうつした。
とっさに思いついた、私の考えは——。
「じ、実は殿下と婚約するのです。ですから、申し訳ありません」
そこまで言って、私は内心汗ダラダラだった。
殿下は私をどう見ても嫌っているし、私の味方はしてくれないだろう。
お願い、どうか私を助けて…!!
そんな私の願いは届いたのだろうか。
殿下はアラン様に言った。
「そうだ。こいつは俺と婚約する。残念だったな、アラン」
そう言って私を引き寄せた。
う、嘘…!味方してくれた!
よくわからないけど、とにかくいい状況へと転がった。
これなら、アラン様の婚約を断る十分な理由になるだろう。
私は少しだけホッとした。
アラン様は殿下を睨んだ後、私に笑いかけながら優しく言った。
「ムク様、どうかお考え直してください。それでは、私はこれで失礼します」
それだけ言って、アラン様は私たちの横を通り過ぎていった。