呪われた聖女は運命を覆したい

アラン様との再会

その後はサニアが無理やり話を変えて、違う話題で盛り上がった。
といっても、私にとってはもう聞いた話。
精神年齢はすでに18歳なわけだし、13歳の会話を聞いていると幼くなったのだと感じる。
そうして案外長く話した後、私たちは聖女の間を出た。
そして部屋を出てすぐ目に映った、煌めく金髪がその時が来たことを知らせた。
私は礼をして見せた。
「お初にお目にかかります、第三王子殿下。コルド国第一聖女、ムク・マリーウット・スペネットにございます」
私の行動を見て、サニアとマリアも礼をした。
「同じく第二聖女、マリア・シュトラール・スペランツァにございます」
「同じく第三聖女、サニア・クラスオン・シャロームにございます」
私たちの様子を見て、彼は目の前に(ひざまず)いた。
これは、最敬礼と呼ばれる最も礼儀正しい礼だ。
「私はコルド国第三王子、アラン・フローレンス・イリュシアです。ここに、聖女様方の青き血(ブルーランク)の目覚めを心より祝福します」
嫌なくらいこの人を知っている。
私を地獄へと突き落とした本人なのだから。
基本的に聖女は皇帝や皇后以上の権利を持ち、世界最高の役職と呼ばれる。
つまり、皇帝でさえも最敬礼をしなければならない相手。
それが私たちだ。
彼が、その笑顔の裏でなにを思っているかなど知りたくない。
「ありがとうございます!どうぞお顔をあげてください!」
いつもよりとびきりに甘い声でそう言ったサニア。
サニアは、男の前ではこういう態度だった。
でも、その態度には全く動じず、私の近くに寄ってアラン様が言った。
「私はムク様に用があります。お二方は席を外していただけませんか?」
——引っかかった。
私は心の中で笑った。
ああ、よかった作戦が成功して。
でも、問題はここからよね。
アラン様はすでに神の遺物(アーティファクト)と契約しているから、化身の姿を見ることができる。
つまり、アラン様はアミューズのことが見られるのだ。
アミューズと喋っているところを見られれば、私が神の遺物(アーティファクト)と契約していることがわかってしまう。
ここからは相談なしでひとりで対応するしかない。
けれど、ここまできたもの。
引き下がるわけないじゃない?
「もちろんですわ。教会の裏に、私に与えられた専用の音質がございますの。ぜひ、そこでお話を」
私はアラン様ににこっと笑いかけた。
「ああ、ぜひそうしよう」
「私たちはいくわね。この後のお勤め、頑張ってね」
私は振り返って、サニアとマリアに笑いかけた。
その時、サニアが下唇を噛んでいるのを見た。
サニアが悔しがっている姿を見るのは、とても楽しかった。
クスッと笑ってから、私はアラン様と一緒に温室に向かった。
ーーーーー
温室について、私は真ん中に配置されている机を指差した。
「あそこにお座りください。私は紅茶を淹れてきます」
「ああ、ありがとう」
アラン様が席についたのを確認して、私は紅茶を淹れに行った。
彼と対面したせいだろうか。
手が震えてしまっている。
当たり前と言ったら、当たり前なのだろうか。
2年間もの間私に地獄を見せてくれた相手なのだから。
私は心を落ち着かせながら、紅茶を二杯淹れた。
そして、お盆に乗せてアラン様のところまで運んだ。
「最近仕入れた紅茶ですの。気に入ってくださると嬉しいですわ」
私はにこっと笑って、カップを置いた。
アラン様が紅茶を飲み始めたのを見て、私は前の席に座った。
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