婚約破棄の断罪裁判を開いた王太子、証言で全て自分の首を絞める【短編】
「そんな……」
エドゥアルト元王太子はがっくりと肩を落とした。周囲には王宮の近衛騎士たちが剣を向けて彼を囲んでいる。彼らは無礼な平民に対して、容赦はしなかった。
「エドゥアルト様」
そのとき、シャルロッテがおもむろに彼に近寄って、ぽんと軽く肩を叩いた。
「下の者を手懐けるのも、高位の者の務めでしてよ……?」
「は…………」
エドゥアルトは顔を上げ、元婚約者を見た。
次の瞬間、彼女の氷のようなぞっとする笑顔に、背筋が凍る。
「お前……まさか……!?」
彼はガクガクと震えだす。己がシャルロッテに嵌められたことを、やっと知ったのだ。
シャルロッテは今日の断罪の情報を得ていて、秘密裏に返り討ちの準備をしていたのだった。
証言者たちは最初から全員彼女の味方で、王太子の買収に敢えて乗らせていた。
全てが侯爵令嬢の指示だった。
「残念でしたね、兄上」
弟が兄の耳元で冷たく囁く。
「あぁ、でも良かったのか。兄弟ともに、心から愛する人と結ばれて」


