両思いでしたがタイムトリップして、敵国の王子と王女になりました!?
いろいろ強化中!
 悪い――と珍しく謝ったロロ。
 パタパタ揺らしていた羽が、元気をなくしたように垂れ下がっていく。
 上空にいたロロが高度を下げたのを見て、私は思わず、手のひらをお椀型にした。
 すると、ゆっくり降りて来たロロが、その中にポスンとおさまる。

「悪かったな。その……役立たずで」
「ロロ……」

 幻覚だけど、垂れてる耳が見える。下がってるしっぽが見える。
 こんなにしょぼくれてるロロ、初めて見た。

「ロロ、ありがとう」
「え……、でも、俺は何も、」

「それでも、私たちのために頑張ってくれたんだよね? ありがとうロロ」
「……ふん。俺なんかにお礼を言うなよな」

 そう言って、ロロは私の手の中でゴロンと横になってしまった。
 どうやら、能力を使うと、ひどく疲れるみたい。

「ねぇレン王子。
 ロロもこの調子だし、もし良ければ……」

 私が何を言いたいのか分かったらしい連くんは、コクリと頷いた。

「うん。俺もそうしようと思ってた。
 トードー。ミア王女と、ハート国の兵士たちを、しばらくスター城に泊めようと思う」

 すると、のっぽさん――トード―さんは「畏まりました」とペコリとお辞儀をした。
 そしてもろもろの準備をするためか、色んな人に指示を出し始める。
 ハート国の兵士のみんなも、スター国にもてなされ、城に入って行った。

「スター城の中で話をする事になるけど、人払いはするから」
「うん、ありがとう。連くん」

 あ、連くんって言っちゃった!
 急いでパシッと口を押えた私に、連くんはクツクツ笑う。

「もう近くに人はいないから安心して、美亜」
「あ……、そっか。良かった!」

 へへと笑い合う私達。
 だけど、この時――
 私は、ある事に気づいた。

「そう言えば、ネネちゃんは?
 全然、姿が見えないけど」
「そう言えば……」

 どうやら連くんは、トード―さんに追い詰められた私を見て、急いでお城から出て来たらしい。
 城内にいるまでは、確かにネネちゃんと一緒だった、とのこと。

「どこにいるのかな?
 いつも俺の傍にいるはずなのに」
「連くんを大好きだもんね……」

 ハハと乾いた笑いをする。
 だけど、連くんは「う~ん」と腕を組んで、何かに悩み始めた。

「そう言えば、最近のネネってどこか変なんだよね」
「変?」

「気まずそうにしてるっていうか。
 あまり目が合わないし、何か悪い事をした子供みたいな――そんな雰囲気なんだよね」
「え……」

「え」と言ったのは私ではなく、ロロの方だった。
 私の手の中で横になっていた体を、ゆっくりと起こす。
 そして蝶々みたいな羽を再び広げ、ゆっくりと飛び立った。

「ロロ! もう飛んで大丈夫なの?」
「問題ねーよ」

「なら良かった。
 けど……どこへ行くの?」
「……」

 ロロは答えなかった。
 そのままスイ~と飛んで行って、ついには見えなくなる。

「ロロ、大丈夫かな」
「もしかしたら、ネネを探しにいってくれたんじゃない?」

「なら良いんだけど……」
「じゃあ俺たちも行こうか。
 美亜も、せっかくのドレスを着替えないとね」

「え? あ……」

 そう言えば、めちゃくちゃキレイで可愛いドレスを着ていたのに。
 土がついてたり破れてたりで、ボロボロだ。

「けっこう可愛かったのになぁ」
「ふふ、今度は俺がプレゼントするから。
 楽しみにしててね、美亜」
「ッ!」

 見た目も仕草も言葉も、まるで王子様。
 ドキドキしない、わけがない。

「お、おねがい、しまっしゅ……!」
「ふふ」

 盛大に噛んだ私を見て、柔らかい笑みを向けてくれる連くん。
 だけど――
 そんな連くんとは、正反対な顔をしている人物が、ここに一人。

「くそ、ネネのやつ。
 どこへ行ったんだよ」

 ロロは、主にスター城の周りをグルグル飛んでいた。
 絶対に近くにいるはずだと、そう思って。

「”どこ行くの”、か。
 悪いな、ミア。
 俺はな、探してんだよ。
 今回の招待状の事件の犯人だろう、ネネの姿をな」

 苦い顔をしたロロ。
 その時。
 いつかと同じく、ロロの前を何かが通った。
 同じ蝶々みたいな羽をもつ――ネネちゃん。

「見つけた……! ネネ!!」
「ッ! ロロ!?」

 ロロを見るやいなや、ネネちゃんは逃げようと急いで羽ばたく。
 だけど、ロロが残っている力を全てだし、猛スピードでネネちゃんを追いかけた。
 そして――

 ガシッ

「捕まえたぞ、ネネ。
 どいうことか、その口から説明してもらうからな」
「う……っ」

 鬼のような顔をしたロロと、今にも泣きそうなネネちゃん。
 ロロの怖い顔を見て、ネネちゃんは観念したのか……。

「全部、話すからぁ!」

 泣きながら、自分のした事を、ロロに話すのだった。

 ◇

「ミア王女、まぁ可愛らしい。
 これならレン王子も、さぞお喜びになりますわ!」
「そ、そうかしら?」

「髪の毛もセットしなければ!
 あ、後は宝石も!」
「あ、あの~ちょっと?」

 メイドさんのような多くの女性たちが、私の周りで忙しなく小走りしていた。
 あまりの目まぐるしさに、なんだか気持ちが悪くなってきた……!

「す、すみません! トイレに!」
「今はヘアセット中です!
 行ってはなりません!
 どうしてもと言うなら、この中に――」

 言いながら、メイドさんは小さなバケツを持って来た。
 ダメダメ!
 それは、ダメ!
 そんな事は、乙女が許さないからね!

「やっぱり何ともないです!」
「まぁ! さすがミア王女ですわ!」

 パチパチと手を叩くメイドさんたち。
 きっと、ここに私の権限はないと思う。
 だから私は潔く諦め――
 準備が終わるまでの間、目を瞑っておくことにした。

 ◇

 全ての支度を、ようやく終えた私。
 側近に連れられ、レン王子が待っていると言われる部屋をノックした。

 コンコン

 すると、返事の代わりに、中からガチャリと音がする。
 ドアが自然と開く、その先には――
 カッコイイ連くんが、待っていてくれた。
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