両思いでしたがタイムトリップして、敵国の王子と王女になりました!?
感動の再再会!
「お、お待たせしました……」
「……」

「レン王子?」
「ごめん、ミア王女が綺麗すぎて……。言葉が出てこなかった」

「!」
「似合ってるよ、とても」

 あ~!
 連くんが、王子様すぎるよ!!

「大丈夫? ミア王女」
「だ、大丈夫、ですわ……」

 顔を真っ赤にさせた私が、息も絶え絶えに、案内されたソファへ移動する。

 その時、ドアを閉めようとしたメイドさんに「ここからは俺たちだけで話をさせて」と、連くんがお願いしていた。
 2つのソファが向かい合い、その間に、背の低いテーブルがある。
 テーブルの上にはおやつや、美味しそうな匂いのする飲み物が置かれていて……

 グゥ~

 私のお腹が、思わず鳴ってしまう。

「はう!?」
「ふふ、色々あってお腹すいたよね。
 さぁ食べよう」
「い、いただき、ます……っ」

 お、お腹が鳴っちゃったよ!
 しかも、かなり大きな音で!

 恥ずかしさで手がプルプル震える中、私はなんとかクッキーを掴む。
 柔らかそうなクッキー。
 見たことない会社のだ。
 ロロ、喜ぶだろうな。
 すると私と同じ事を考えたのか、連くんも「これはネネが好きそうなクッキーだ」と。
 お皿に乗ったクッキーを見て微笑んだ。

「連……レン王子、ネネちゃんの事は、皆は知っているのですか?」
「人払いしてあるから、敬語は無しでいいよ。”王子呼び”もナシね」
「そうなんだ、わかった!」

 私が頷いたのを見た連くん。
「何から話そうかな」と、考える素振りをした。

「スター国に存在する”言い伝え”の事も話したいしね。
 あれを聞いた時、わけわからなかったよね?」
「た、確かに……」

 ――スター国の王子が大好きな人と結婚すると、国が栄える

 色んな勉強をしたけど、そんな事は初めて聞いたもん。
 それに、トード―さんは「その女性の多くは妖精を従えている」とか言ってたし。
 妖精って、そんな昔から存在していたものなの?
 あ~ダメ!
 全然わかんない!

「美亜が混乱してきたところで、説明を始めるね」
「お願いします……!」

「前世……って言った方がいいのかな?
 美亜を校舎裏に読んだ時、大きな黒い塊が降って来た。
 岩だと思って、美亜を守ろうと抱きしめたら……。
 次に目を覚ました時は、スター国の王子になってた」
「黒い塊……」

 私はあやふやにしか覚えてなかったけど……。
 そんな怖い物が、降ってきたなんて。
 しかも、躊躇なく、連くんは私を助けてくれたんだね。
 ありがとう、連くん……っ。

 連くんへの好きの想いが増した時。
 連くんが「ビックリしたよ」と、私を見た。

「ミア王女が美亜なんじゃないかと思ったっていうのは、前会った時に話したよね。
 どうやって会おうとしてたかも。
 だけど、敵国同士なかなか会う事ができない。
 そんな時。
 八方塞がりで悩んでいた俺の前に、ネネが現れたんだ」

「正確には、本の中で寝ているネネだけどね」と笑う連くん。
 私とロロが出会った時と状況が同じで、安心した。

「で、妖精の能力についてなんだけど。
 俺は早い段階で、ネネからその事を聞いていたんだ」
「え、そうなの!?」

「うん。そして、その能力に、俺はかなり助けられている。
 今もね」
「今も……?」

 すると連くんは、一息つくようにカップに口をつけた。
 コクンと喉仏が上下している姿でさえ、私はドキドキしてしまう。
 そんな中、連くんは真剣な目をした。

「ネネの能力はね――
 過去の記憶を変えられるんだよ。
 しかも時間制限も、人数制限もない」
「え、じゃあ……」

「もしかして」と、頭の中のピースが、だんだんとはまっていく。
 あと少しで、謎めいたパズルが、完成しそうだった。
 スター国における「言い伝え」が、ヒントとなって。

「勘付いてるって顔になったね、美亜。
 そうだよ。
 この国に伝わる言い伝え。
 スター国の王子が大好きな人と結婚すると国が栄えるっていうのは――
 ネネがスター国民全員の記憶を操作して成り立っている事なんだよ」
「え、つまり……」

 ネネちゃんは、スター国にいる全ての人の記憶をいじって、
 スター国には「言い伝え」が存在するって、思い込ませているの!?

「それ、ネネちゃんに、かなりの負担があるんじゃ……」
「俺も心配したんだけど、無いっていうんだよ。
 その言葉を信じて、能力を発揮してもらった。全員に記憶が定着するまで、しばらく時間がかかったけど……。
 それでも、そんな大変な事を、ネネはやってくれたんだ」

 そうなんだ。
 でも、やっぱり、それじゃ――

 不安に思った私に気づいたのか。
 連くんは「だからね」と話を続けた。

「能力を使うのは、俺と美亜が結婚するまで、って約束をした。
 結婚したら、能力を使うのをやめて欲しいって。
 そして、俺は必ず美亜と結婚するって。そう思って今日まで動いてたんだ」
「え」

 じゃあ、私の文がスター国に届かなかったのは、連くんが仕組んだ事だったのかな?
 疑問に思っていると、連くんは私を見て、フッと笑う。

「でも、まさかこんなトントン拍子にいい方向に進むなんてね。ビックリしたよ」
「え、あ……ね、本当!」

 蓮くんの様子だと、ハート国から文が来なかったのは予想外だったみたい。
 じゃあ、手紙の件は、一体誰が――

 すると突然。
 この部屋に、第三者の声が聞こえる。

「なーんだ、やっぱそんなとこか」

 見ると、呆れた顔のロロと、そして……
 バツの悪そうな顔をしたネネちゃんがいた。

「全部……話す。
 あの日、私が何をしたか。
 そして――
 誰と会って、何の話しをしたのかも」
「ネネちゃん……?」

 なんだか泣きそうなネネちゃん。
 震える肩をギュッてしてあげたくて近寄ったら、ネネちゃんが私を見た。

「近づいたら蹴るから」
「え!?」

 どうやら、私は嫌われたままみたい……。
 でも、ネネちゃんには感謝しかない。
 だって、恋敵である私に手をかすのは嫌だろうに、それでも、今もスター国民へ能力を使い続けてるのは……。
 それほど連くんの事を好きだって事。
 自分が振られても、好きな人には幸せになって欲しいっていう、ネネちゃんの連くんへの愛。
 ネネちゃんの気持ちを思うと、胸がキュッと、切なくなった。

「ネネちゃん、後でクッキー一緒に食べよ?」
「……クッキーだけ貰う」
「私と一緒に食べようよ~!」

 ネネちゃんと話していると、ふいにロロが手を挙げた。

「俺からもいいか?」
「何か話したいことがあるの?」

 蓮くんに聞かれて、ロロは頷く。

「俺からは、ネネが知らない事について話す。
 ネネも、そろそろ知っておかなきゃ行けないと思うから」
「ロロ…… ?」

 いつもより真面目な顔をするロロ。
 私は何を言えばいいか分からなくて、開きかけた口を閉じた。
 すると、そこへ連くんが一言。

「お茶でも、入れようか」

 そして、神妙な面持ちをした皆んなの前に、連くんお手製のお茶が並んだのだった。
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