両思いでしたがタイムトリップして、敵国の王子と王女になりました!?
待っててね、ロロ!
「ねえロロがいなくなったって、どういう事?
 連れていかれたって、誰に!?」

 ネネちゃんが、鬼気迫った顔で、私たちに尋ねる。
 そうか、ネネちゃんはあの時、私の手の中で眠っていたから知らないんだ。

「ネネ、よく聞いて。
 ロロは白い羽に包まれて、そして消えた」
「へ? 消えた……?」
「誰かに連れ去られたんだ。
 それは、たぶん……」

 たぶん――の後ろにつづく言葉は、嫌と言うほど分かる。
 なぜなら、さっき私たちが「要注意人物」だと、認識したばかりだから。

「ロロを連れ去ったのは、ソフィアだ」
「ソフィアって……。
 私とロロを作ったって言う?」

「そう。どういう理由でロロを連れ去ったかは分からないけど……。
 早く助けた方がいいと思う。
 だってロロは、
 俺たちに、ソフィアの全てを話したからね」
「っ!」

 その声は、重く、この場に響いた。
 ロロがどういった目的で連れ去られたのか。
 それは、考えたくないものだった。


「いや!ロロを助けて、お願い!
 レン!ミア!
 ロロは、私の仲間なの!
 お兄ちゃんみたいな、大事な人で……。
 う、うわ~んっ!」

 そこまで言って、ネネちゃんは泣き崩れる。
 異世界にいた時よりも、更に小さくなった肩を、小刻みに震わせている。

「ロロ、ロロぉ……っ」

 そんな姿を見て、私も連くんも、しばらく固まった。
 でも、
 だけど――

「ねぇ連くん……。
 私……小学生のままがいいって、思うよ。
 こっちに戻ってこれた時、本当に嬉しかったの」
「美亜?」

「小学生の連くんを見て……。
 やっぱり、こっちの世界がいいなって。そう思ったよ。
 だけど――」

 だけどね、連くん。
 私、変なの。
 ネネちゃんの泣いている姿を見たら、
 連れ去られる直前に、ロロが私たちに向かって「逃げろ!」って叫んだ姿を見たら。

 体の内側から、力が溢れ出てくるの――

「連くん、行こう。異世界に。
 私、友達を助けたい」
「み、ミアぁ……」

 私を見て泣くネネちゃん。
 確かポケットにあったはず、と手を突っ込むと、ビンゴ。
 まだキレイなハンカチを、ネネちゃんの頬にちょいちょいとあてる。

「ネネちゃん、涙を拭いて。私も同じだから。
 ロロを助けたいって気持ちは、同じだから――ね?」
「ミア……」

 ギュウッとハンカチに抱き着くネネちゃん。
 その姿を見ながら、私は連くんに謝った。

「ごめんね、連くん。
 私、いつの間にか……。
 どっちの世界も、大事になったみたい」
「美亜」
「このまま、この世界にいれば……。
 変わらない日常が送れて、平和なのに」

 ごめんねと俯く私。
 そんな私を、連くんはニコリと笑って抱きしめた。
「いいんだよ」と言う優しい声が、耳元で聞こえる。


「また、大変な事になるかもしれないよ?」
「いいよ。どんな状況になったって、俺が美亜を守ればいいんだから」

「ダイア国も出て来たし、またスター国と戦争になったら、」
「ならないように最善を尽くす。
 美亜のそばを離れないって、約束する」

 だから――と言った時の連くん。
 その時の顔は、小学生の連くんなのに、
 王子様の雰囲気が漂っていた。

「ロロを助けに行こう。
 ソフィアの事を全て話してくれたロロを、俺も仲間だと思ってるし、友達だと思ってる。
 だから、助けたい。
 みんなで、ロロを助けに行こう。

 異世界に、戻ろう」

 ネネちゃんも、私も、そして連くんも――
 皆でコクリと頷く。
 みんなの心は、確かに一つになっていた。

「でも、どうやって行こうか」

 連くんが呟いて、ネネちゃんが「あ」と声を出す。
 だけど、私には考えがあった。
 限りなく、あてずっぽうだけどね!

「私、前に剣を出した事があるの。
 その時、無意識のうちに”神様”って言ったんだよね。

 で、この世界に戻って来る前も”神様”って言ってたの」
「え、いつ?」
「ソフィアがお化けみたいって、思ったあたりかな」

 詳しくは、記憶をさかのぼって!
 私は両指をクロスさせ、「お祈り」のポーズをとる。

「私の声を、神様が聞いている気がする。
 そして可能な範囲であれば、叶えてくれる気がするの」
「え、もしそうなら、」
「うん。神様にお願いして、また異世界に連れて行ってもらおう!」

 お祈りする手に、ギュッと力を込める。
 すると連くんが後ろから、私を抱きしめてくれた。

「連くん!」
「さっき言ったでしょ?
 どんな時も離れないって」
「~うん!」

 すると、今度は連くんの手の中に移動していたネネちゃんが「ケッ」と舌打ちをする。

「そんなノロケはいらないから、早くロロの所に連れて行けー!」
「は、はい!」

 ネネちゃんに喝を入れられ、私の背筋が伸びる。
 そして――

「神様」と口にした瞬間。

 大きな黒い塊が、私たちの頭上に現れた。

「連くん、行くよ……!」
「うん、異世界に行こう。
 ロロだって、俺たちを待ってるはずだからね」
「うん!」

 二人で黒い塊を見る。
 その後すぐ、私たちは巨大な黒い塊に呑まれ、姿を消した。

 待っててね、ロロ!
 私たちが絶対、あなたを助けるからね!
< 25 / 29 >

この作品をシェア

pagetop