ただ君を愛したいだけ
けれど、育児をしているとそんな暇はないのだ。

陽菜を食べさせるために必死に働き、仕事から帰ったあとも陽菜の世話に明け暮れる毎日。

自分の時間なんてほとんどないが、それがかえってよかったようにも思う。


「おいし」


ドロドロのお粥が、こんなにおいしいと思ったのは初めてだった。

空腹は最上の調味料とも言うがその通りかもしれない。


「ハンバーグ、食べてるかな」


スプーンやフォークを使えるようにはなっているけれど、気が急くと手が出てしまうこともある。

フォークにうまく刺さらず、左手で食べ物を持ち、フォークに突き刺すなんてことも。

そのたびに、ああ……とは思うものの、こうしていろんなことを覚えていくのだろうなと見守っている。

しかし、智治さんの前で同じことをやってしまったら、迷惑がかかりそうだ。


「気にする人じゃないか」


そう思ったけれど、すぐに否定した。


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