ただ君を愛したいだけ
翌日の日曜日。

面会時間の開始とともに、陽菜が病室に駆け込んできた。


「ママー!」


ベッドに突進する勢いの彼女を受け止めなくてはと体を起こそうとすると、智治さんがすっと陽菜を抱き上げてくれた。


「陽菜ちゃん、ママまだちょっと痛いんだ。だから、ね?」
「そーだったあ。ママ、ごめんね」


陽菜にいろいろ言い聞かせてくれたのだろうか。

あの頃、智治さんはいつか私たちの間に子供が生まれたら――と優しい表情で夢を語っていたけれど、子供の扱いがうまそうだ。

厳しい上司という印象が強いビーカインドの元同僚たちがこの姿を見たらびっくりしそう。


「いいのよ。ちょっと待ってね」


リモコンを操作してベッドの背を上げていくと、陽菜は目を丸くしている。


「すごー」


智治さんが陽菜を床に下ろすと、彼女はベッドサイドまでやってきた。

膝に絆創膏が貼ってあるものの、元気いっぱい。
大きなけがをしなくてよかったと、胸を撫で下ろした。


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