ただ君を愛したいだけ
「ママ、魔法使い?」
「あはは。そういうベッドなのよ」


陽菜の頭を撫でながら言う。


「かわいい髪形ね。……もしかして」


陽菜の髪がお団子に結われている。


「智くんがやってくれたんだよー。かわいい?」


陽菜は髪を自慢するようにくるりと一回転してみせた。


「うん、すごくかわいい」


髪にかかわる仕事をしている智治さんは、商談で何度も美容院に足を運ぶうちに、様々な技術を身につけた。

ヘアアレンジはもちろん、普通は美容院でしか行わないトリートメントまで。

私もある程度は自分でできるが、男性社員でそこまでやる人はほかにいなかった。
彼の仕事に対する情熱がなせる業だ。

アクアのオーナーの渡会さんに、『うちで働きなよ』とスカウトされたことまであるらしい。

手先が器用なうえセンスまであるから、無造作なお団子がきまっている。


「ありがとうございます」


泣き顔でやってくるのではないかと思っていたので、安心した。

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