月が青く染まる夜に
風は昼間よりも弱まったけれど、まだしっかり吹いていて。
マフラーをひきりなしに揺らす。
下ろした髪に静電気が走り、「痛っ」と耳を押さえた。
「大丈夫ですか?」
迅和くんの手が私の耳に伸びてくる。
「マフラーの静電気が耳に────」
初めて、しっかりと重ねられた手。
ひんやりしているのに、心の奥まで温かい。その手が心の明かりを灯す。
声が出ない。
緊張よりも、何が起こったのか分からない困惑。
青と赤の信号がぼやけ、彼が触れる手は予想外の柔らかさだった。
彼の顔が、私の視界の端へとゆっくり移動する。
逃げる暇もなく、私の耳元で止まる。
逃げ場を探すみたいに、私は瞬きを忘れていた。
迅和くんが身をかがめて、重ねた手から私の耳に触れる。
視線の合わせ方も、手の重ね方も、触れ方もこれまでにないほど近く、すべてが予測できない事態だった。
彼の顔がふっと視界から少しずれたところへ移動する。
────なに?
と、思っているうちに、左耳に、柔らかい熱。
何が触れたのか理解する前に、
かすかな歯の感触が、鼓動を直接つかんだ。
マフラーをひきりなしに揺らす。
下ろした髪に静電気が走り、「痛っ」と耳を押さえた。
「大丈夫ですか?」
迅和くんの手が私の耳に伸びてくる。
「マフラーの静電気が耳に────」
初めて、しっかりと重ねられた手。
ひんやりしているのに、心の奥まで温かい。その手が心の明かりを灯す。
声が出ない。
緊張よりも、何が起こったのか分からない困惑。
青と赤の信号がぼやけ、彼が触れる手は予想外の柔らかさだった。
彼の顔が、私の視界の端へとゆっくり移動する。
逃げる暇もなく、私の耳元で止まる。
逃げ場を探すみたいに、私は瞬きを忘れていた。
迅和くんが身をかがめて、重ねた手から私の耳に触れる。
視線の合わせ方も、手の重ね方も、触れ方もこれまでにないほど近く、すべてが予測できない事態だった。
彼の顔がふっと視界から少しずれたところへ移動する。
────なに?
と、思っているうちに、左耳に、柔らかい熱。
何が触れたのか理解する前に、
かすかな歯の感触が、鼓動を直接つかんだ。