月が青く染まる夜に
「────えっ!?」

「お姉ちゃん、彼氏いたの!?」

「まあねー。ご挨拶したいって言ってるから」

こちらは大事件みたいな反応なのに、姉は動じることなくテーブルに私の食事を手早く並べていく。

「け、けけ、けっ、けっこ、結婚!?」

父の動揺が凄まじい。

「さあ。分かんないけど。まず会ってみてよ」

「あぁー、うん。分かった……」

さっさとキッチンへ戻っていく姉の後ろ姿を見送ったあと、父はソファーに座り直してちょっと肩を落としていた。

私はいたたまれない気持ちになりながらも、「いただきます」と手を合わせる。
出来たてほかほかのお雑煮とあんこもち。
お箸ですくうと、よく伸びた。

大きく口を開けて一口食べたところで、ピロン、とスマホの通知音が鳴った。


スマホに飛びつくと、おもちがビクッと体を震わせる。
驚かせてごめん。

迅和くんからの返信────。
期待して開くと。

『明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。』

…ぜっっっっったい、私の文章コピペしたよね?
せめて絵文字の一つでも違えば、まだ救われたのに。

はぁ、とため息が漏れた。


積もりはしないであろう雪が、外をちらつく。
もうすぐ、いつもの日常が戻ってくる。

スマホを伏せたまま、こたつ布団に顔を埋めた。


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