扉の向こうの王子様~終電帰りの限界社畜OL、玄関のドアを開けたら異世界と繋がっていました
◇◇◇
石畳の道は、昼間とは違う表情を見せていた。
軒先に灯された燭台が、通りをほのかに照らしている。
行き交う人々の装いも、どこか夜の街に溶け込むような色合いだ。
「リィン殿、緊張してますね」
ルーファが優しく声をかけてくる。
「え、そんなに分かります?」
「顔に出てますよ」
ダリウスが笑う。
「大丈夫だ。俺たちも居る」
「護衛とか、私ほんっとやったことないんで……あー、取材と思えばいけるのかな」
「取材とは?」
「んー、調書取りみたいな? お話を色々聞く感じです」
蒼月亭の前に着くと、ちょうど扉が開いたところだった。
「あら、いらっしゃい」
リゼットが立っている。今日は濃い紫のドレスを纏い、髪を片側に流していた。
耳元では、小さな銀の飾りが揺れている。
「こんばんは」
凛子は努めて明るく挨拶する。
「まあ、秘書官殿まで、わざわざ。今日はシェイル様はご一緒ではないのね」
「はい。今日は護衛の配置確認で参りました」
「軍本部のルーファです」
「ダリウスです」
「ふふ、三人揃ってとっても可愛いわね」
リゼットは興味深そうに若き騎士を視て、凛子を見る。
濃紺の瞳が、じっと観察しているようだった。
「それなら、色々とお話ししましょう。どうぞ、上がって」
店内は相変わらず薄暗く、甘い香りが漂っている。
エントランスのソファには、数名の客と女性達が寄り添っていた。
その中の一人が、凛子達に気づいて軽く会釈する。
階段を上がる。一階から二階へ。
靴音が絨毯に吸い込まれていく。二階の廊下からは、グラスの触れ合う音や、低い笑い声が聞こえてきた。ルーファがここでエルネストの待機している部屋へと向かった。
更に三階へ。
ダリウスが扉前で待機を宣言し、個室に入ったのは凛子だけだった。
石畳の道は、昼間とは違う表情を見せていた。
軒先に灯された燭台が、通りをほのかに照らしている。
行き交う人々の装いも、どこか夜の街に溶け込むような色合いだ。
「リィン殿、緊張してますね」
ルーファが優しく声をかけてくる。
「え、そんなに分かります?」
「顔に出てますよ」
ダリウスが笑う。
「大丈夫だ。俺たちも居る」
「護衛とか、私ほんっとやったことないんで……あー、取材と思えばいけるのかな」
「取材とは?」
「んー、調書取りみたいな? お話を色々聞く感じです」
蒼月亭の前に着くと、ちょうど扉が開いたところだった。
「あら、いらっしゃい」
リゼットが立っている。今日は濃い紫のドレスを纏い、髪を片側に流していた。
耳元では、小さな銀の飾りが揺れている。
「こんばんは」
凛子は努めて明るく挨拶する。
「まあ、秘書官殿まで、わざわざ。今日はシェイル様はご一緒ではないのね」
「はい。今日は護衛の配置確認で参りました」
「軍本部のルーファです」
「ダリウスです」
「ふふ、三人揃ってとっても可愛いわね」
リゼットは興味深そうに若き騎士を視て、凛子を見る。
濃紺の瞳が、じっと観察しているようだった。
「それなら、色々とお話ししましょう。どうぞ、上がって」
店内は相変わらず薄暗く、甘い香りが漂っている。
エントランスのソファには、数名の客と女性達が寄り添っていた。
その中の一人が、凛子達に気づいて軽く会釈する。
階段を上がる。一階から二階へ。
靴音が絨毯に吸い込まれていく。二階の廊下からは、グラスの触れ合う音や、低い笑い声が聞こえてきた。ルーファがここでエルネストの待機している部屋へと向かった。
更に三階へ。
ダリウスが扉前で待機を宣言し、個室に入ったのは凛子だけだった。