2Kの君~終電帰りの限界OL、2Kの扉を開けたら異世界騎士の部屋でした
 前側妃を母とする二人の兄弟は、双子と見紛うばかりに似ていた。
 青碧の瞳に、白銀色の癖の無い髪が、やわらかな陽光を受け煌いている。

 前正妃の子である第二王子もまた瞳と髪の色合いが違うだけで、アゼリアスの珠玉達は非常に良く似た風貌をしていた。

 前正妃と前側妃が姉妹だったのは有名な話である。十二代聖王 ゲイル・ベレイル・ガーランド・エレ・ラ・アゼリアスを頭に前王妃と前側妃、それから三人の王子達は、平和に今代王家という単位を結んでいた筈だった。

 しかし、ほんの小さな綻びを切欠として、本人達が例え意図せずとも、争いは起こってしまう。
 ここで現王妃曰く「だいたい陛下は女性の方に少々だらしが無いから……よよよ」に話は戻る。

 姉王妃よりも先に妹側妃が第一王子を出産した。

 そして次に姉王妃と妹側妃は一日違いで第二王子、第三王子を出産したのだ。連なる血縁はいずれも申し分が無い。王は順当に生まれた順に王位継承権をふり帝王教育を施したのだが、安穏な彼らに横槍を入れるよう、幼い少年王子たちの兄弟仲を引き裂こうと一部の奸臣やらが画策した。

 皇太子にはやはり正妃の第二王子が良いだろう、いや第一王子の方が相応しい、はたまた神童の誉れ高い第三王子こそ。と静謐だった水面を、わざわざ波立たせ為、彼らはちょっとした人間不信に陥ってしまった。

 陰謀めいたものは特別無かったのだが、第一王子が成人する年、つまり立太子する年に、王妃と側妃姉妹は揃って流行り病にかかり、亡くなってしまう。

 立太子式は喪に服すため延期された。運気の悪さは連鎖するのか、愛する妻たちを亡くしてしまった傷心の王が、たまたま療養していた温泉地サルスェの別邸で、あろうことか二回り近く年の離れた未亡人と恋に落ちる。

 ここまで来ると吟遊詩人に物語られそうな壮大な話が、平和な国アゼリアス聖王国を舞台に出来上がる。

 そして今年、第二王子が成人する年、相も変わらずじわりじわりと水面下で繰り広げられていた、当人たちの与り知らぬ跡目争いが、大きく動きを見せる。 

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