扉の向こうの王子様~終電帰りの限界社畜OL、玄関のドアを開けたら異世界と繋がっていました
◇◇◇
「ごちそうさまでした! でも、次回は私にご馳走させてくださいね!」
凛子の顔色は特に変わっていない。
街灯の淡い明りがが長い睫に影を落としていた。
ヒューゴは無表情に見つめる。
半歩先を行っていた彼女は振り返り足を止めた。
「ヒューゴさん?」
「……すいません。少し酔ってしまったようです……」
まるで立場が逆の台詞だ。
「どうしよう。少し休みますか!?」
「いえ……大丈夫ですよ。もう少し行けば大通りですし、馬車でも拾いましょう。本来ならお送りするのが筋ですのに、お恥ずかしい」
曖昧な笑いを返し、辺りに視線をやっていた凛子は、小路の突き当りにあるベンチを指差した。
石造りのそれの横には街灯も建っており、星霜通りからもほんの数歩行けばいい場所にある。
「そういう時は無理しない方がいいんです。大丈夫って思っていても後から酷い目に合うらしいからお水でも飲みましょう」
ヒューゴの背中を促すように軽く押しやった。