扉の向こうの王子様~終電帰りの限界社畜OL、玄関のドアを開けたら異世界と繋がっていました
祭壇の前で、威風堂々たる面持ちの男が膝を落とした。
その横で、白を重ねた司祭服を身に纏っていた青年が聖句を唱えはじめる。
高い位置に並ぶ聖火の揺らめき。
ちらりと背後を振り返ると、興奮を隠せない沢山の瞳がこちらを見ている。
自分を見ているわけではない、祭壇の王と大司祭の一挙手一投足を皆が、見守っているのだ。
小脇をつつかれ、ミアリエルはあわてて正面を見すえる。
一段高い場所に位置している祭壇前では、父王が大司祭である兄と並んで頭を垂れている。
朗々と続く祈りの文言は長く、眠気を誘う。
本来ならば寝所に入っている刻限であるが、華宵本祭の宵宮は始まったばかりだ。
もぞりと体を動かすと、自分をつついた手が、背中に回される。長時間立ちっぱなしという事もあり、足が痛い。ミアリエルは背中をささえるシェイルの手に、有り難く体重を預けることにした。
これ以上は我慢が出来ない。こっそり靴を脱いでしまおうかと逡巡し始めた頃、祈りの言葉が余韻を残し締め括られた。
民を代表しリアス神に頭を垂れていた王が静かに立ち上がる。
隣に控えていた大司祭が続き、王へ五色で彩られた器を差し出す。
王の手によって供物台へと設えられた器に、左右から歩み出てきた聖官たちによって、穀物や果実の種が、ひとつずつ落とされていく。
春を告げる祝いは、豊穣の祈りでもある。
芽吹き始めた新しい生命が、無事に根付きますよう。
厳かなる鐘が鳴る。大聖堂の鐘の音を合図に、小神殿の澄んだ鐘の音が響く。
王宮の鐘楼が風を揺らす。街中にある教会の鐘が続く。そして、国中の至る所に設置されている、穀物で結い上げられた松明が、聖火から分けられた火種で点火され、炎が夜空を焦がす。
興奮に沸き立つ歓声。
今年も、春が告げられたのだ。
その横で、白を重ねた司祭服を身に纏っていた青年が聖句を唱えはじめる。
高い位置に並ぶ聖火の揺らめき。
ちらりと背後を振り返ると、興奮を隠せない沢山の瞳がこちらを見ている。
自分を見ているわけではない、祭壇の王と大司祭の一挙手一投足を皆が、見守っているのだ。
小脇をつつかれ、ミアリエルはあわてて正面を見すえる。
一段高い場所に位置している祭壇前では、父王が大司祭である兄と並んで頭を垂れている。
朗々と続く祈りの文言は長く、眠気を誘う。
本来ならば寝所に入っている刻限であるが、華宵本祭の宵宮は始まったばかりだ。
もぞりと体を動かすと、自分をつついた手が、背中に回される。長時間立ちっぱなしという事もあり、足が痛い。ミアリエルは背中をささえるシェイルの手に、有り難く体重を預けることにした。
これ以上は我慢が出来ない。こっそり靴を脱いでしまおうかと逡巡し始めた頃、祈りの言葉が余韻を残し締め括られた。
民を代表しリアス神に頭を垂れていた王が静かに立ち上がる。
隣に控えていた大司祭が続き、王へ五色で彩られた器を差し出す。
王の手によって供物台へと設えられた器に、左右から歩み出てきた聖官たちによって、穀物や果実の種が、ひとつずつ落とされていく。
春を告げる祝いは、豊穣の祈りでもある。
芽吹き始めた新しい生命が、無事に根付きますよう。
厳かなる鐘が鳴る。大聖堂の鐘の音を合図に、小神殿の澄んだ鐘の音が響く。
王宮の鐘楼が風を揺らす。街中にある教会の鐘が続く。そして、国中の至る所に設置されている、穀物で結い上げられた松明が、聖火から分けられた火種で点火され、炎が夜空を焦がす。
興奮に沸き立つ歓声。
今年も、春が告げられたのだ。