扉の向こうの王子様~終電帰りの限界社畜OL、玄関のドアを開けたら異世界と繋がっていました
ちくりとした痛みに顔を顰め、腕に目を遣ると、また手首辺りが裂かれ赤色を滲ませていた。
前回のようにざっくりいかなかっただけマシかもしれない。
傷口は忽ちのうちに塞がり、服を汚すことも無かった。
エイゼルが持ってきた丸椅子に腰掛けると、男達の視線との距離が更に開いた。
正面に賢者、その左にディエル、そして右に……先ほどから無言を貫いている男。やはり面接か何かを思い出させるこの状況に、凛子はなんとなく居心地悪そうにもぞりとする。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
隔離結界とやらが出来上がった状態だと思われるのに、なぜか誰も言葉を発さない。
ならば、と口を開くと、思いの外、大きな声が室内に落ちた。
「えっとさ……」
シェイルがびくりと体を揺らす。
くすくす笑いのディエルは、賢者と似たように難しい顔のままだ。
「シャール、だよね」
問われた当人は「ああ」と呻くように答えた。
「これ私の記憶があれだったら何とも言えないんだけど……勝手に私の家に押しかけて来た挙句、片付けろとか腹が減ったとか俺様は育ちが良いから床では寝れんとか言ったシャールだよね」
「――――な、にを……、……そんな事は厚かましい言い方はしていない!」
ディエルが視線を伏せる。
賢者がふいっと目を逸らす。
「露出狂だとかアル中だとか飼い犬にしたいと言ったよね?」
「勝手に話を作るな! 飼い犬に似ていると言ったんだ!」
「えー……じゃあさ、キスしてきた挙句深い意味は無いとかいって突き放したよね」
がた、とエイゼルが背中を書棚にぶつける。
「……していない」
凛子が憂いを浮かばせる。
「そっか、気のせいか」
「――接吻はしたが突き放していない」
前回のようにざっくりいかなかっただけマシかもしれない。
傷口は忽ちのうちに塞がり、服を汚すことも無かった。
エイゼルが持ってきた丸椅子に腰掛けると、男達の視線との距離が更に開いた。
正面に賢者、その左にディエル、そして右に……先ほどから無言を貫いている男。やはり面接か何かを思い出させるこの状況に、凛子はなんとなく居心地悪そうにもぞりとする。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
隔離結界とやらが出来上がった状態だと思われるのに、なぜか誰も言葉を発さない。
ならば、と口を開くと、思いの外、大きな声が室内に落ちた。
「えっとさ……」
シェイルがびくりと体を揺らす。
くすくす笑いのディエルは、賢者と似たように難しい顔のままだ。
「シャール、だよね」
問われた当人は「ああ」と呻くように答えた。
「これ私の記憶があれだったら何とも言えないんだけど……勝手に私の家に押しかけて来た挙句、片付けろとか腹が減ったとか俺様は育ちが良いから床では寝れんとか言ったシャールだよね」
「――――な、にを……、……そんな事は厚かましい言い方はしていない!」
ディエルが視線を伏せる。
賢者がふいっと目を逸らす。
「露出狂だとかアル中だとか飼い犬にしたいと言ったよね?」
「勝手に話を作るな! 飼い犬に似ていると言ったんだ!」
「えー……じゃあさ、キスしてきた挙句深い意味は無いとかいって突き放したよね」
がた、とエイゼルが背中を書棚にぶつける。
「……していない」
凛子が憂いを浮かばせる。
「そっか、気のせいか」
「――接吻はしたが突き放していない」