花屋のガーデニング委員会!
「そ、空くん……っ」
空くん、無事だった。嬉しくて泣きそうになる。
「花壇の土、キレイになったな。だけど一気にやりすぎだ。手の豆が潰れて血だらけだぞ」
空くんは抱きしめたまま私の手を取り、隅々まで観察した。まるで自分の身が切られたように傷ついた顔をしている。一方の私は、触れ合った彼の手が温かいことに安心してポロポロと涙があふれた。
「良かった空くん。ちゃんと生きている……っ」
「心春、悪かった。心配したか?」
「あ、当たり前だよ!」
「ハハ、悪い」
軽く言うものだから、怒って「もう」と軽く叩く。いや、叩こうとした。だけど空くんは、振り上げた私の手をいとも簡単に掴む。
「心春」
大事な物に触るような、これまでにない優しい手つき。
温かな空くんの手が、私の頭を何度も心地よくすべる。
「ありがとう、心春」
「!」
「ありがとう」
「うん……っ」
空くんは何度もお礼を言った。だけど空くん。私こそ「ありがとう」なんだよ。
「私やっとね、今自分がするべきことを見つけたんだ。庭をお花でいっぱいにする。それを写真に撮って、おばあちゃんに見せるの。そうしたら、きっとおばあちゃんは元気になって退院できるよね!」
「心春……でも、いいのか?」
一度断られただけに、空くんは「私が無理しているんじゃ?」と思ったみたい。でも、いいんだよ。私は空くんの目を見て、力強く頷く。
「下ばかり向いて悲しむのはやめにする。もう弱音は吐かない。カッコ悪い私を見ても、おじいちゃんは喜ばないだろうから」
「心春……ん、分かった」
空くんは私をなでる手を離し、再び正面からギュッと私を抱き締め直す。
「今の心春を見たら、じいさん泣いて喜ぶだろうな」
「へへ、そうかな」
私が選んだ道は間違いじゃなかったって、そう言って貰えたようで嬉しい。改めて、空くんが私の前に現れてくれて良かったと。心からそう思えた。
「土を掘っていた時、おじいちゃんとおばあちゃんの事を思い出したの。懐かしくて嬉しかった。私、もっとガーデニングをやってみたい。だから空くん、私にガーデニングを教えてください!」
「……ん、わかった。よろしくな心春」
頷いた空くんの向こうで、もう何番目かになる星が瞬いている。おじいちゃんとおばあちゃんも、夜の庭で「キレイだね」って言い合ったかな。二人の目に写った空は、どんな模様をしていただろう。すると私にならって空を見上げていた空くんが「そう言えば」と呟く。
「あの二人は、夜もガーデニングをしていたな」
「え? 真っ暗の中?」
「そう。ちょうどこんな夜だった。たくさんの星が広がる空の下、楽しそうに笑っていた」
ハハと笑った空くん。私は、その横顔を近い距離で見つめた。すると胸の中に温かいものが積もって来た。大好きな二人の話を聞けて嬉しいのはもちろん、笑っている空くんを見ても嬉しくて。もっと見たいと思っちゃった。
「心春、言っておきたいことがあるんだけど……って、顔が赤くないか?」
「え!」
私の顔が赤い⁉ 早口で「夜のせいです」と言い、両手で頬をパンパンと叩く。
すると空くんが「さっきの続きだけど」と、私をイスに座らせる。自分は地面に片膝をつき、血が付いた私の手をそっと握った。
「さっき心春は〝弱音は吐かない〟って言ったけど、弱音は好きなだけ吐け」
「え?」
「昨日俺の前で泣いたみたいに〝しんどいことはちゃんと言葉にしろ〟ってこと」
「でも、もうウジウジしないって決めたから……」
「……」
ジト目で私を見た空くんは、私の口がタコになるまで頬を押しつぶす。
「ぎゃっ」
「俺は、心春が頑張りすぎる姿を見たくないんだよ。だからしんどくなったら俺に言うこと。泣いてもいいから一人でため込むな、いいな?」
「っ!」
頼もし過ぎる空くんに、胸が大きく高鳴った。私たちのポーズがそれぞれお姫様と騎士(ナイト)みたいだから、余計に! 顔に熱が集まった時だった。
「心春、空くん。ご飯よ~」
お母さんの声が玄関から聞こえる。私たちは顔を見合わせて「はーい」と返事をし、シャベルとゴミを片付けて家へ入る。重たいシャベルは、当たり前のように空くんが持ってくれた。その行動に、また顔に熱が集まる。だけど私を見たお母さんが、盛大にひっくり返った。
「心春! あなた制服のままで土いじりしたの⁉」
「え? わぁ!」
絶叫を聞いて我に返る。空くんのことで焦っていたから、着替えをせずにガーデニングしちゃってた! 慌てて着替えて、お母さんに「ごめんなさい」と制服を渡す。だけど私の制服を受け取ったのは、なんと空くんだった。
「俺がキレイにする」
「空くん助かるわぁ。でもいいの?」
お母さんに「大丈夫ですよ」と笑みを浮かべ、空くんはバスルームへ行く。その後、パンパンって制服の汚れを取る音が聞こえた。
「わ、私も手伝ってくる!」
バスルームへ行くと、空くんはズボンまくり上げて膝を折っていた。手にはたくさんの泡、そして私の制服。私の制服を、空くんが洗っている……!
「そ、空くん、もういいよ! 私がやるから!」
恥ずかしくなって、空くんから制服を奪う。だけどひょいとかわされてしまった。
「心春は何もしなくていい」
「で、でもっ」
なかなか引き下がらない私に、空くんはシャワーヘッドを構える。何をするかと思えば私の手の平へ狙いを定め、ブシャッと放水開始!
「いいい、痛ぁっ⁉」
シャワーに触れた瞬間、激痛が走る。そう言えば豆が潰れていたんだった!
「こんな手で洗剤を触ったら泣くぞ」
「う~……っ」
「でも痛くてもちゃんと手を洗うこと。土には見えない菌がたくさんいるからな」
真剣に忠告した後、空くんが照明の下で笑う。栗色の瞳と髪がココだと金色に見えて、まるで王子様みたい。
「そう言えば、何の種を蒔くか決めたのか?」
「雑誌に書いてあったんだけど、ガーベラやマリーゴールドが今の季節に種植えするといいみたい。あとはバラも植えたいな。あの缶のなかに種があればいいんだけど」
「バラは種を乾燥させないよう、濡れたテイッシュを蒔き冷蔵庫に保管する方法もあるぞ」
「じゃあ冷蔵庫も見てみるね。〝バラは絶対に植えたい〟から、種があったらいいなぁ」
ゴシゴシ、ピタ
空くんの手が止まる。泡まみれになった私の制服を見たまま、ポツリ。
「そんなにバラを植えたいのか?」
「植えたい! バラが咲いたら、きっと空くん喜ぶだろうなぁって思ったの!」
制服を見つめていた瞳が、バッと私へ向く。少し赤らんだ頬。何か言いたそうな口はハクハクと動いて、やがて止まった。
「む、向こうで顔を洗ってこい。頬に土がついているぞ」
「え! 恥ずかしいから、そういうことは早く言ってよ~っ」
急いでバスルームを後にする。だけど去り際、とあることを聞いてみた。
「もし植えるなら、空くんは何の種類がいい?」
すると本人は「あー」と目を泳がせながら、泡のついた手で頬をかく。
「バラも好きだけど、ポピーも好き。その種も保存されているか、見てくれないか」
「分かった。ポピーの種を蒔く時期は今なの?」
「いや、一般的には秋だ」
「え、じゃあダメじゃん。でも一応、探しておくね」
タオルで足を拭きながら「どうしてポピーが好きなの?」と聞いてみた。でも……
「それは……教えない」
プイッとそっぽを向いて、再び私の制服を洗い始める空くん。制服を洗う力が強すぎて、泡風呂並みに泡立っているよ……!
「空くん、制服ありがとう。晩ご飯の用意をしとくから、終わったら来てね」
「あぁ」
手を振って、バスルームを後にする。キッチンへ行くと、お母さんがテレビを見ながらお肉の入ったフライパンを振っていた。この匂い、今日は生姜焼きだ! いい匂いを堪能していると、テレビの音が耳に入って来る。
『さて好評の花言葉大辞典の時間です。今日ご紹介する花はポピー。花言葉は、恋の予感』
「え?」
思いもしない言葉に手が止まる。ポピーの花言葉が〝恋の予感〟? 急に、さっき庭で空くんに抱きしめられたことを思い出す。いくら空くんが消えなくて安心したからって、だ、抱きしめ合うなんて! カッカッする顔に風を送っていると、制服を洗い終えた空くんがにゅっと顔を出す。
「おばさん、終わりました」
「ありがとう~じゃあ洗濯を回してくるわね」
お母さんは私に菜箸を渡し「焦げないようにね」と去っていく。私と空くんの二人きり⁉ 意識しすぎて石みたいに固まっていると、空くんが私の手から菜箸を抜き取った。
「手に薬を塗ったか?」
「ま、まだ」
「じゃあ早く塗れ。もし痕になったら大変だから」
真剣な顔で言ってくれる空くんにキュンとする。そこまで心配してくれるの、空くんくらいだよ。「ありがと」と言うと、口を尖らせた空くんは肉を混ぜ始めた。スラリとした背。いくつあるんだろう。っていうか、腰の位置が高すぎるよ。それに菜箸を動かす時に、二の腕の筋肉が動いて……って! 私ってば何を考えているの!
「うぅ~……っ」
救急箱の前で唸る私を見て、空くんが「そんなに痛いか?」と心配そうに尋ねた。
空くん、無事だった。嬉しくて泣きそうになる。
「花壇の土、キレイになったな。だけど一気にやりすぎだ。手の豆が潰れて血だらけだぞ」
空くんは抱きしめたまま私の手を取り、隅々まで観察した。まるで自分の身が切られたように傷ついた顔をしている。一方の私は、触れ合った彼の手が温かいことに安心してポロポロと涙があふれた。
「良かった空くん。ちゃんと生きている……っ」
「心春、悪かった。心配したか?」
「あ、当たり前だよ!」
「ハハ、悪い」
軽く言うものだから、怒って「もう」と軽く叩く。いや、叩こうとした。だけど空くんは、振り上げた私の手をいとも簡単に掴む。
「心春」
大事な物に触るような、これまでにない優しい手つき。
温かな空くんの手が、私の頭を何度も心地よくすべる。
「ありがとう、心春」
「!」
「ありがとう」
「うん……っ」
空くんは何度もお礼を言った。だけど空くん。私こそ「ありがとう」なんだよ。
「私やっとね、今自分がするべきことを見つけたんだ。庭をお花でいっぱいにする。それを写真に撮って、おばあちゃんに見せるの。そうしたら、きっとおばあちゃんは元気になって退院できるよね!」
「心春……でも、いいのか?」
一度断られただけに、空くんは「私が無理しているんじゃ?」と思ったみたい。でも、いいんだよ。私は空くんの目を見て、力強く頷く。
「下ばかり向いて悲しむのはやめにする。もう弱音は吐かない。カッコ悪い私を見ても、おじいちゃんは喜ばないだろうから」
「心春……ん、分かった」
空くんは私をなでる手を離し、再び正面からギュッと私を抱き締め直す。
「今の心春を見たら、じいさん泣いて喜ぶだろうな」
「へへ、そうかな」
私が選んだ道は間違いじゃなかったって、そう言って貰えたようで嬉しい。改めて、空くんが私の前に現れてくれて良かったと。心からそう思えた。
「土を掘っていた時、おじいちゃんとおばあちゃんの事を思い出したの。懐かしくて嬉しかった。私、もっとガーデニングをやってみたい。だから空くん、私にガーデニングを教えてください!」
「……ん、わかった。よろしくな心春」
頷いた空くんの向こうで、もう何番目かになる星が瞬いている。おじいちゃんとおばあちゃんも、夜の庭で「キレイだね」って言い合ったかな。二人の目に写った空は、どんな模様をしていただろう。すると私にならって空を見上げていた空くんが「そう言えば」と呟く。
「あの二人は、夜もガーデニングをしていたな」
「え? 真っ暗の中?」
「そう。ちょうどこんな夜だった。たくさんの星が広がる空の下、楽しそうに笑っていた」
ハハと笑った空くん。私は、その横顔を近い距離で見つめた。すると胸の中に温かいものが積もって来た。大好きな二人の話を聞けて嬉しいのはもちろん、笑っている空くんを見ても嬉しくて。もっと見たいと思っちゃった。
「心春、言っておきたいことがあるんだけど……って、顔が赤くないか?」
「え!」
私の顔が赤い⁉ 早口で「夜のせいです」と言い、両手で頬をパンパンと叩く。
すると空くんが「さっきの続きだけど」と、私をイスに座らせる。自分は地面に片膝をつき、血が付いた私の手をそっと握った。
「さっき心春は〝弱音は吐かない〟って言ったけど、弱音は好きなだけ吐け」
「え?」
「昨日俺の前で泣いたみたいに〝しんどいことはちゃんと言葉にしろ〟ってこと」
「でも、もうウジウジしないって決めたから……」
「……」
ジト目で私を見た空くんは、私の口がタコになるまで頬を押しつぶす。
「ぎゃっ」
「俺は、心春が頑張りすぎる姿を見たくないんだよ。だからしんどくなったら俺に言うこと。泣いてもいいから一人でため込むな、いいな?」
「っ!」
頼もし過ぎる空くんに、胸が大きく高鳴った。私たちのポーズがそれぞれお姫様と騎士(ナイト)みたいだから、余計に! 顔に熱が集まった時だった。
「心春、空くん。ご飯よ~」
お母さんの声が玄関から聞こえる。私たちは顔を見合わせて「はーい」と返事をし、シャベルとゴミを片付けて家へ入る。重たいシャベルは、当たり前のように空くんが持ってくれた。その行動に、また顔に熱が集まる。だけど私を見たお母さんが、盛大にひっくり返った。
「心春! あなた制服のままで土いじりしたの⁉」
「え? わぁ!」
絶叫を聞いて我に返る。空くんのことで焦っていたから、着替えをせずにガーデニングしちゃってた! 慌てて着替えて、お母さんに「ごめんなさい」と制服を渡す。だけど私の制服を受け取ったのは、なんと空くんだった。
「俺がキレイにする」
「空くん助かるわぁ。でもいいの?」
お母さんに「大丈夫ですよ」と笑みを浮かべ、空くんはバスルームへ行く。その後、パンパンって制服の汚れを取る音が聞こえた。
「わ、私も手伝ってくる!」
バスルームへ行くと、空くんはズボンまくり上げて膝を折っていた。手にはたくさんの泡、そして私の制服。私の制服を、空くんが洗っている……!
「そ、空くん、もういいよ! 私がやるから!」
恥ずかしくなって、空くんから制服を奪う。だけどひょいとかわされてしまった。
「心春は何もしなくていい」
「で、でもっ」
なかなか引き下がらない私に、空くんはシャワーヘッドを構える。何をするかと思えば私の手の平へ狙いを定め、ブシャッと放水開始!
「いいい、痛ぁっ⁉」
シャワーに触れた瞬間、激痛が走る。そう言えば豆が潰れていたんだった!
「こんな手で洗剤を触ったら泣くぞ」
「う~……っ」
「でも痛くてもちゃんと手を洗うこと。土には見えない菌がたくさんいるからな」
真剣に忠告した後、空くんが照明の下で笑う。栗色の瞳と髪がココだと金色に見えて、まるで王子様みたい。
「そう言えば、何の種を蒔くか決めたのか?」
「雑誌に書いてあったんだけど、ガーベラやマリーゴールドが今の季節に種植えするといいみたい。あとはバラも植えたいな。あの缶のなかに種があればいいんだけど」
「バラは種を乾燥させないよう、濡れたテイッシュを蒔き冷蔵庫に保管する方法もあるぞ」
「じゃあ冷蔵庫も見てみるね。〝バラは絶対に植えたい〟から、種があったらいいなぁ」
ゴシゴシ、ピタ
空くんの手が止まる。泡まみれになった私の制服を見たまま、ポツリ。
「そんなにバラを植えたいのか?」
「植えたい! バラが咲いたら、きっと空くん喜ぶだろうなぁって思ったの!」
制服を見つめていた瞳が、バッと私へ向く。少し赤らんだ頬。何か言いたそうな口はハクハクと動いて、やがて止まった。
「む、向こうで顔を洗ってこい。頬に土がついているぞ」
「え! 恥ずかしいから、そういうことは早く言ってよ~っ」
急いでバスルームを後にする。だけど去り際、とあることを聞いてみた。
「もし植えるなら、空くんは何の種類がいい?」
すると本人は「あー」と目を泳がせながら、泡のついた手で頬をかく。
「バラも好きだけど、ポピーも好き。その種も保存されているか、見てくれないか」
「分かった。ポピーの種を蒔く時期は今なの?」
「いや、一般的には秋だ」
「え、じゃあダメじゃん。でも一応、探しておくね」
タオルで足を拭きながら「どうしてポピーが好きなの?」と聞いてみた。でも……
「それは……教えない」
プイッとそっぽを向いて、再び私の制服を洗い始める空くん。制服を洗う力が強すぎて、泡風呂並みに泡立っているよ……!
「空くん、制服ありがとう。晩ご飯の用意をしとくから、終わったら来てね」
「あぁ」
手を振って、バスルームを後にする。キッチンへ行くと、お母さんがテレビを見ながらお肉の入ったフライパンを振っていた。この匂い、今日は生姜焼きだ! いい匂いを堪能していると、テレビの音が耳に入って来る。
『さて好評の花言葉大辞典の時間です。今日ご紹介する花はポピー。花言葉は、恋の予感』
「え?」
思いもしない言葉に手が止まる。ポピーの花言葉が〝恋の予感〟? 急に、さっき庭で空くんに抱きしめられたことを思い出す。いくら空くんが消えなくて安心したからって、だ、抱きしめ合うなんて! カッカッする顔に風を送っていると、制服を洗い終えた空くんがにゅっと顔を出す。
「おばさん、終わりました」
「ありがとう~じゃあ洗濯を回してくるわね」
お母さんは私に菜箸を渡し「焦げないようにね」と去っていく。私と空くんの二人きり⁉ 意識しすぎて石みたいに固まっていると、空くんが私の手から菜箸を抜き取った。
「手に薬を塗ったか?」
「ま、まだ」
「じゃあ早く塗れ。もし痕になったら大変だから」
真剣な顔で言ってくれる空くんにキュンとする。そこまで心配してくれるの、空くんくらいだよ。「ありがと」と言うと、口を尖らせた空くんは肉を混ぜ始めた。スラリとした背。いくつあるんだろう。っていうか、腰の位置が高すぎるよ。それに菜箸を動かす時に、二の腕の筋肉が動いて……って! 私ってば何を考えているの!
「うぅ~……っ」
救急箱の前で唸る私を見て、空くんが「そんなに痛いか?」と心配そうに尋ねた。


