彼は魅惑のバレリーノ

家に帰ってから、なんとなく落ち着かなくて、
私はパソコンを取り出し、検索欄に名前を打ち込んだ。

戸神 柊。

エンターを押した瞬間、画面に並んだ写真に思わず固まる。

「……う、そ」

そこに映っていたのは、さっきまで普通に話していた人とは思えない姿だった。
舞台の上で跳び、回り、光を浴びている。
どの写真も、動きが止まっているのに迫力があった。

記事を開くと、受賞歴がずらりと並んでいる。
海外のカンパニーで活躍しているという紹介文まであった。

「すごいプロのバレエダンサーじゃないか……」

声に出したら、部屋の空気が少し震えた気がした。

そんな人に、私は気軽にモデルを頼んでいたのか。
断られて当然だよね、と苦笑いが漏れる。

でも、気づけば私は近くの書店に向かっていた。
雑誌コーナーで、彼が載っている号を片っ端から手に取る。

帰宅して、ベッドの上に積み上げた雑誌をぱらぱらとめくる。
舞台の写真、インタビュー、練習風景。

「こんなすごい人が……」

ページをめくるたびに、現実感が薄れていく。
さっきまで隣で笑っていた人と、同一人物とは思えなかった。

それでも、目は自然と写真を追ってしまう。
気づけば、時間が過ぎるのも忘れて眺め続けていた。
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