彼は魅惑のバレリーノ
翌日。
昼休み、デスクで雑誌を開いていると、背後から声がした。
「あれ、何見てるの?」
同僚の亜季が、紙コップのコーヒーを片手に覗き込んでくる。
「これ。この人、知ってる?」
ページを指さすと、亜季の目が一瞬で丸くなった。
「プロのバレエダンサー?
あ、この前テレビで特集されてた人じゃん。超有名人だよ。」
「やっぱりそんなすごい人なんだ…」
私がつぶやくと、亜季は椅子を引いて隣に座り、ロングの髪を指先でくるくるしながら言った。
「めちゃくちゃイケメンよね!その人がどうしたの?」
「たまたま見かけてさ。
あまりに美しくて、絵のモデルしてくださいって頼んだの」
「えっ!?」
亜季の声がワンテンポ高くなる。
「断られたけど。」
「でしょうね。」
あっさり言い切られた。
でも、妙に納得してしまう。
亜季は雑誌の写真をじっと見つめながら、
「ていうか、よく声かけたね…」
と呆れたように笑った。