あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「百花さんは瑠宇斗さんみたいな人が好きなんですね・・・」
 「言っておくけど、あなたがどんなに頑張っても瑠宇斗には勝てない。それが事実なのは間違いないわ」
 何か言いかけた言葉を呑む信司。百花の言うことに納得したからだ。何を言っても言い訳になってしまう。
 「あなたは瑠宇斗になりたいの?あなたはあなたでしょ?小さくても1つでもいいのよ。信念を持ちなさい!」
 「僕・・・僕は百花さんが好きです!それは誰にも負けません!」
 真剣な眼差しから、急に恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にして、照れながら微笑む信司の姿に、百花は初めて会った時の権蔵を重ねた。
 愛する妻を思い、子狐の百花に奥さんのことを話していた権蔵の笑顔・・・妻を思いながら花を摘む権蔵はとても幸せそうで、愛に満ち溢れていた。
 その笑顔をこの男は自分に向けている・・・何・・・このギュッと胸を締め付けられる感じ・・・権蔵と会っていた頃と違うこの感情・・・体が・・・熱い。
 「か、勝手に言ってなさい!わ、私は帰るわよ」
 「あっ、待って下さい!連絡先交換してください」
 「私・・・スマホとか持たない主義なのよ」
 「えっ?」
 「気まぐれだからね」
 「じゃあ、今度の土曜日、時間ありますか?デート・・・じゃなかった、少し時間下さい!お願いします」
 「・・・か、考えとくわ」
 「11時にときよ屋で!遅れても大丈夫ですよ!待ってますから!じゃあ、僕、帰ります!」
 信司は笑顔で大きく手を振り、店を出て行った。

 静まる店にふと疑問が浮かび、瑞穂はある思いを口にした。
 「瑠宇斗さん。今までのことを考えると、ひょっとして百花さんも・・・」
 「そうだよ。百花はあやかしで喜見山の守り神、喜見之神様の神使だ。元は狐でね」
 「そうでしたか・・・今までのこと、色々と腑に落ちます」
 「それにしても百花を好きになるなんて、信司君はもの好きだなぁ」
 「失礼なっ!こんな魅力ある私に何も感じないあなたが鈍感なのよ!ねぇ、瑞穂」
 「えっ、えっとー・・・」
 鈍感で良かった・・・そうとは言えず、
 「まぁ、それが瑠宇斗さんですし、良いところです!」
 と、力強く答えた。
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