あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「ところで百花。どうするんだ?信司君のこと」
 「ど、どうもしないわよ。私、帰る!じゃあね!」
 頬を染めながら百花は店を出て行った。
 「百花さん。本当は信ちゃんのこと・・・」
 「・・・まぁ、色々考えてしまうのは、俺にはよく分かるし、きっと俺しか分からない」
 「そ、そうですよね・・・百花さんのことを理解出来るのは、瑠宇斗さんしかいないですよね・・・」
 2人の絆は、私には理解出来ない深いものだと思う。長い年月、同じあやかしとして、神の使いとして生きて来たんだから・・・
 「瑠宇斗さんにとって、百花さんは大切な存在なんですね?」
 「あぁ、百花は俺にとって、大切な仲間だ。幸せになって欲しい。でも俺達はあやかしだから、色々と考えてしまう・・・色々とね」
 「瑠宇斗さん・・・あの・・・」
 「さぁ、仕事だ!さぼるなよ、瑞穂」
 「さ、さぼりませんよ!」
 頬を膨らます瑞穂の頭を撫でて「良い子だ」と頬笑む瑠宇斗を、複雑な気持ちで見つめる瑞穂だった。

 そして、信司は約束を告げた土曜日の11時前にときよ屋にやって来た。
 「こんにちは!」
 「信ちゃん、いらっしゃい!」
 「瑞穂ちゃん、お団子お願い」
 「はい、待っててね。きっと、もうすぐ百花さんも来ると思うから」

 それから1時間。まだ百花は来ていない。
 待ってる間、信司のお皿にはお団子のくしが、10本以上並んでいた。
 「信ちゃん・・・百花さん、何か用事が出来たかもしれないよ。今日の所はこれくらいにして・・・」
 「百花さん、気まぐれだって言ってたから、やっぱり気まぐれで来てくれるかもしれないし、待たせてもらうよ。もう1皿、お団子お願い!」
 「信ちゃん、いいよ、お団子頼まなくて・・・」
 「食べてないと落ち着かないし、大丈夫だから」
 「う、うん・・・待っててね」
 じっと信司を見つめる瑠宇斗に、瑞穂が不安そうに近づくと、
 「ちょっと見回りに行ってくるよ。信司君を頼む」
 瑠宇斗は瑞穂の肩にポンと手を乗せて、店を出て行った。
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