あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【百花の新たなときめき】
 今年は花火大会が大雨で中止になり、あっという間に秋が訪れた頃。
 「はぁ~い、瑠宇斗!それと、お付きの瑞穂」
 「いらっしゃ・・・なんだ、百花か」
 「なんだはないでしょ?」
 「お前が来るとろくなことがない」
 「あらっ、客として来たのに失礼ね!信司に呼ばれたのよ」
 「信司君?どうして信司君が?」
 「知らない。あの事件からも何度か山に来ては、私の名前を叫ぶから『何か用?』って聞いたら、ただ会いたかったって、意味が分からないわ」
 「そのままの意味だろ」
 「それで先週来た時に、今日ここに来るように言われたの。まぁ、瑠宇斗の所ならいいかなぁーって思ってさ。瑞穂は余計だけど」
 「よ、余計って・・・」
 「瑠宇斗、またここにしばらくいるんでしょ?」
 「あぁ」
 「はぁ・・・あの瑠宇斗がまさかねぇ・・・まぁ、いいわ」
 「こんにちは!あっ、百花さん!来てくれたんですね!ありがとうございます!」
 満面な笑顔で爽やかに店に入って来た信司は、脇目も振らず百花の前に座った。
 「瑠宇斗に挨拶もしたかったからね。ところで、今日は何?」
 「今日は・・・僕が本気だということを知って欲しくて、瑠宇斗さんや瑞穂ちゃんの前で改めて言います!好きです!僕と付き合ってください!」
 「私はね、強い男が好きなのよ」
 「ぼ、僕も頑張ります。百花さんを守るために鍛えます!」
 「あのさぁ、別に体を鍛えるとかいらないから。私の強い男っていうのは、ここよ」
 百花は信司の胸を突いた。
 「・・・とにかく、今のあなたには興味無いから」
 瑠宇斗は元が人間だ。瑞穂を好きになるのはごく自然のこと。元々動物だった百花は、自分が人間に恋するなんて有り得ないし、人に思いを寄せて、辛い思いをするのが嫌だった。
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