あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 話が勝手に決まって戸惑う瑞穂は、テーブルを片付ける瑠宇斗に話し掛けた。
 「瑠宇斗さんは・・・どう思いますか?」
 「俺が決めることじゃないだろ?瑞穂の人生なんだから」
 「そうですけど・・・あの、瑠宇斗さんは、もし私が・・・私がいなくなっても平気ですか?」
 「俺は変わりなくこの山を守る。それだけだ」
 「私・・・明日から東京に行きますよ?もしかして・・・そのままってことも・・・」
 「俺は今から山を見回ったあと、癒怒之神様の命で戻ってこれない。店のことは任せろ。気をつけてな」
 「・・・分かりました・・・行って来ます・・・」
 瑠宇斗は瑞穂と目を合わせることなく、そのまま出て行き、すれ違ったまま1日を終えた。

 そして明くる日。
 瑞穂は瑠宇斗と顔を合わせることなく、朝早めに家を出た。
 店の外を掃除する瑠宇斗は、いつもなら明るい笑顔の瑞穂とたわいない会話をしながら店の準備をするが、今は瑞穂がいない店で、初めて味わうモヤモヤとした気持ちと、もしかしてもう会えなくなるかもしれないと、寂しい気持ちでため息をついていた。
 「はぁ~い、瑠宇斗。信司と遊びに来たわよ。あれっ?お付きの瑞穂は?」
 「東京に帰るらしい。その打ち合わせに出掛けた」
 「確か・・・昨日、僕の母が和子さんに会った時、甥っ子が瑞穂ちゃんを東京に連れて行くって言ってたけど・・・和子さんのことだから、いつもの妄想だと思っていましたが・・・本当の話ですか?」
 「瑞穂が?それで、まさか行ってらっしゃいって送り出したの?」
 「瑞穂が決めることだから、俺がとやかくいうことじゃないだろ?」
 「はぁ・・・あんた、人のことは分かるくせに、自分の気持ちは分かってないの?」
 「・・・俺が行かないで欲しいって言うのか?自分の家に戻り、就職も出来るんだ。瑞穂にとっていい話だ」
 「じゃあ、瑞穂の気持ちはどうなのよ?」
 「瑞穂も帰りたいから行ったんだろう」
 「ねぇ。まさかと思うけど、『俺が決めることじゃない。瑞穂の人生だから』とか言ってないよね?」
 「言ったが・・・その通りだろ?」
 「はぁ・・・女心を分かってない・・・それに・・・どうして自分の気持ちを伝えなかったのよ」
 「伝えてどうするんだ」
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