あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 癒怒之神は、じっと達之助を見ていた。
 「癒怒之神様。この少年をどうか新たな仲間として・・・神使として迎え入れていただけませんでしょうか・・・」
 「思慮深い緑運が、感情移入するなんて珍しい」
 「彼はきっと、この土地の力になるような気がします」
 癒怒之神がゆっくりと視線を母に向けると、涙ぐみながら少年に近づき、名前を呼びながら透き通る手で頭を撫でたあと、癒怒之神に頭を下げた。
 「少年の名は、達之助というのだな?」
 ゆっくりとうなずき、触れる事が出来ない手で、達之助の頭を撫でていた。
 「いいだろう、緑運。その願い叶えよう。但し、達之助はあやかしの神使として受け入れる。神使としてそぐわないと判断した時は消し去る。よいな?」
 「はい」
 「達之助の母よ。安心して黄泉の国へ向かうがよい」
 それを聞いた達之助の母は、涙を流しながら癒怒之神に向けて口を動かした。
 「承知した」
 何かを伝えた母は、愛おしそうに達之助に体を寄せた。
 姿が段々と薄れていく中、頬をすり寄せたあと、達之助の母はこの世を旅立った。
 「さぁ、始めるぞ、緑運」
 癒怒之神が手をかざすと、達之助からオレンジ色の光を包み込む青色の光玉が浮かび上がる。
 「そなたの命、預かった。銀狼となり私の神使として仕えよ!」
 そう言うと、癒怒之神がかざした手から銀白色に輝く光が放たれ、光玉と達之助の全身を覆った。

 しばらくすると、達之助の瞼が微かに動き、ゆっくりと目が開いた
 「ここは・・・はっ!眠ってしまった!早くツユクサを見つけて家に帰らないと!」
 達之助は立ち上がると、何故か前のめりになり、両手を地面に着くと、四つん這いの姿勢になった。
 不思議に思い、自分の手を見ると・・・
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