あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「あの時の気は、やはり瑞穂か・・・黙っていたが、実は前から藤野さんに、デザイナーの仕事をしたいから、キゼラを辞めてその道に進みたいと相談されていたんだ。お店のこともあるから、新河さんに早めに話をするよう伝えてね。確かに告白はされたが、はっきり断ったよ。俺が愛しているのは瑞穂だけだって・・・」
 「ほ、本当・・・ですか?」
 「あぁ・・・本当だ。もう会うことが無いから、最後の挨拶として抱きついたのだろう・・・でも、俺は彼女には触れていない」
 確かに、瑠宇斗は手を回していなかった・・・瑞穂はその時の状況を思い出していた。そうか・・・勘違いだったんだ・・・瑞穂は自分の誤解だったことに、ホッとした。
 「登喜代さんに、瑞穂が書いた絵を見せてもらったよ」
 「えっ!捨てたはずなのに・・・下手だから恥ずかしいし・・・えーと・・・あの絵は・・・私の夢というか・・・」
 「瑞穂・・・俺と一緒に生きてくれないか?」
 「一緒に?・・・も、勿論です!例え瑠宇斗さんがあやかしのままでいても、私は一緒に生きて行きたい!ただ・・・私だけ歳を取っていくけど、それでも・・・愛してくれますか?」
 「そのことなんだが・・・俺は癒怒之神様に人間として生きたいと伝えた」
 「えっ?」
 「あの絵を夢で終わらせない。実現させたいと思っている。ただ、人間になれば今までのようにはいかない。それでも必ず瑞穂を守ることを約束する。共に生きてくれるか?」
 「も・・・もちろんです!」
 「良かった・・・瑞穂・・・愛してる・・・」
 瑠宇斗は瑞穂の頬に手をあて、唇が触れる寸前、欲望を抑えて抱きしめた。
 「・・・瑠宇斗・・・さん?」
 「ご両親に認めてもらうまではダメだ。瑞穂、なるべく早くときよ屋に戻って来てくれ。2人で癒怒之神様に挨拶に行こう」
 「はい、明日にでも行くように両親と話をします。でも、キスくらいは・・・ずっと我慢してたのに・・・」
 「ダメだ」
 「どうして・・・」
 「今キスしたら、キスだけじゃ終われない・・・」
 今はそれほどまでに、瑞穂への愛おしいさが溢れ出していた。
 瑠宇斗は瑞穂の手を取り、自分の頬に当てその上に手を重ねた。
 「待ってるから」
 「あっ!」
 瑠宇斗は銀狼の姿になり、素早く瑞穂の目の前から姿を消した。
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