あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 🐺🐺🐺
 「はぁ・・・藤野さんとのことは誤解で良かった・・・そ、そうだ!お父さんとお母さんに」
 コン、コン。ドアを誰かがノックした。
 「瑞穂、お父さんが1階に下りて来てって」
 「う、うん。直ぐ行くよ!」
 敦実に返事をすると、深呼吸をしてワクワクする気持ちを抑えて、リビングに向かった。
 「丁度良かった。2人に話があって・・・あっ、晴之君・・・」
 「お邪魔してます、瑞穂ちゃん」
 「晴之君の会社の人達と定例の交流会があってね。その帰りなんだ」
 「そう・・・」
 仕事ぶりを気に入っていて、帰ってから『彼氏にするなら彼みたいな人がいいだろ?』と、事あるごとに言っている。
 「先日はあまり話が出来なかったけど、こっちに戻って来たんだね。瑞穂ちゃんのお父さんに色々仕事のことを教えてもらってさ。今日はもう少し話をしたくてお邪魔したんだ。瑞穂ちゃんにも会いたかったし」
 「そんなにかしこまらなくてもいいんだよ、晴之君。さぁ、座って。瑞穂も、ほらっ」
 瑞穂は仕方なく、徳次の隣の椅子に座った。

 「カナダに行く話は、偶然というより、運命のような気がするよ」
 「僕もびっくりしました。心強いです!」
 「いやいや、それは私達と瑞穂の方だよ。瑞穂、向こうで困ったことがあったら、晴之君に相談しなさい」
 瑞穂は晴之が帰ってから、両親に自分の想いを説明しようと思っていたのに、一方的に話を進める徳次に、瑠宇斗への感情が溢れ出ている今、感情の歯止めが出来なかった。
 「お父さん、ごめん。私、明日の朝から登喜ばぁの所に行くから」
 「いい加減にしなさい!お遊びの時間は十分に与えただろ?」
 「遊びじゃない!真剣に仕事をしていたの!ここでは味わえない、人との繋がりや優しさも学べたのよ!」
 「それは、目新しいことばかりだったからだ。晴之君の前でまだそんなわがままを・・・」
 「それだけじゃない!もっと大切な・・・お父さんは私の気持ちも聞かずに勝手に話を進めて・・・カナダには行かない!晴之君、ごめんね。せっかく久しぶりに会ったのに、巻き込んじゃって・・・父のこと、これからも宜しくお願いします」
 「み、瑞穂!待ちなさい!」
 瑞穂はそのまま階段を駆け上がって部屋に閉じこもり、ベッドに飛びこみ布団に潜りこんだ。
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