あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 そして、ときよ屋に向かうと、
 「お帰り、瑞穂ちゃん」
 登喜代がいつものように優しく出迎えてくれた。
 「登喜代さん、瑞穂と出掛けてきます」
 「はい、行ってらっしゃい!」
 2人は人が通らない道まで少し山に登り、瑠宇斗が銀狼に姿を変えると、瑞穂を背中に乗せて尻尾で支え、駆け出した。

 山の深いところにある神の領域の前は、空気が研ぎ澄まされ瑞穂にとっては、とても心地いい空間だ。
 「癒怒之神様、瑞穂を連れて参りました」
 瑠宇斗が頭を下げたのに続いて瑞穂もお辞儀をすると、癒怒之神が目の前に現れた。
 「瑞穂、お帰り。やはりそなたの気は変わりなく美しくて心地いい。瑠宇斗が惹かれるはずだ。なぁ、瑠宇斗」
 「はい」
 神様と瑠宇斗に褒められて、恥ずかしさに瑞穂の顔は赤みを帯びてきた。
 「力も完全に戻っているようだな」
 「そ、そうですか・・・自分では分かりませんが・・・」
 「私達が見えるのがその証拠だ。さぁ、本題に入ろう。瑠宇斗に黙っていたことがある」
 「何でしょうか?」
 「瑠宇斗が達之助として生きていた体は、神の領域で今も息をしている」
 「俺の体が・・・まだあるって・・・どういう事ですか?」
 「瑠宇斗の母に託された時、瑠宇斗はまだ生きていたのだ。あやかしになっても自分の力に溺れること無く、私との約束を忠実に守り、もし、瑠宇斗が人間として生きたいと心から願う時が来たら、その時は人間に戻れるようにと。瑠宇斗の体は100年で人間の5歳程度成長している。当時12歳の瑠宇斗は、人間として27歳くらいだろう。そして、今の姿は、神の領域で眠っている瑠宇斗の姿だ」
 「では・・・その体は・・・」
 「あやかしの姿は私が作りあげたもの。そこに達之助の魂を宿した。あやかしから瑠宇斗の魂を取りだし、人間の体に戻せば、瑠宇斗は人間として生き返ることが出来る」
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