あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 嬉しくて瑠宇斗に抱きつこうとした時、
 「瑞穂―!こっちに来てー!」
 と、登喜代の呼ぶ声が聞こえた。
 「もぉ、いいところだったのに・・・瑠宇斗さん、私、行きますね」
 瑞穂が店に入るのを微笑ましく見送って、空を見上げた。
 「母さん・・・母さんのおかげで俺は幸せだよ」
 そして、店に入ろうとした時、少し離れた所に7歳くらいの女の子が立っていた。
 「こんな所に1人で・・・迷ったのか・・・」
 心配した瑠宇斗が歩きだそうとしたのを、店の奥にいた強志が外に出て来て、瑠宇斗の肩を掴んだ。
 「瑠宇斗、あの子はお前の客人だ」
 「俺・・・ですか?あんなに小さい子は知らないですよ」
 「いいから来い」
 強志は少女に目線を合わせるようにしゃがみ、優しく話し掛けた。
 「こんにちは。1人でここに来たの?」
 「うーん、分からないけど、パパとママとこの町に遊びに来たの。そしたら、ここに来ちゃった・・・」
 「そうか・・・おじさん達が捜してあげるから心配しなくてもいいぞ」
 「うん!」
 「瑠宇斗、よく見てろよ」
 強志がその子に手をかざすと、女の子は眠るように強志の腕に抱えられた。
 そして、その子を光が包みこみ大きく輝くと、ボロボロの着物を来た女性が浮かび上がった。
 「か・・・母さん・・・」
 瑠宇斗は涙を浮かべ、現れた母親を見つめていた。
 「達之助・・・達之助なのね・・・」
 「母さん・・・母さん、ごめん。助けてあげられなくて・・・」
 「私は寿命だったのよ・・・私との約束を・・・この町を守ってくれてありがとう・・・幸せになったのね」
 「あぁ、瑞穂という素敵な女性と添い遂げるよ」
 「良かった・・・本当に良かった・・・」
 女の子を包みこんでいた光が、段々と薄くなっていく。
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