あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【魔性のあやかしに誘われて】
 幸せな毎日を過ごしていたある日の朝。
 「こんにちは。神元瑠宇斗さん、いらっしゃいますか?」
 「いえ・・・今はいませんけど、どちら様ですか?」
 「私、豪田取締役の部下です」
 「あぁ、強志さんの会社の方ですね。瑠宇斗さんならもうすぐ戻って来ますので座って待っていて下さい」
 「すみません、急ぎの案件で私はホテルに戻らないといけなくて・・・取締役が取引先の役員に紹介したいと伝言を受けて来ました。緊急ですので、直ぐにこのホテルまで来て下さいとお伝えてください」
 一方的に用件を言うと、部下の女性スタッフは、メモを渡して急いで帰っていった。
 「よっぽど急ぎなんだろうなぁ・・・」
 心配していると、
 「瑞穂、ただいま」
 と、瑠宇斗が店に戻って来た。
 「あっ、瑠宇斗さん!スーツを着た女性と会いませんでしたか?」
 「いや・・・見かけなかったが・・・」
 「強志さんの部下の方が来られて、緊急だからここに来て欲しいって。取引先の役員の方も一緒らしいですよ」
 「昨日送った案件の内容で、早速話に来たのか・・・ここに来たらいいのに」
 「さすがに取引先の役員がいたらここでは・・・私が店番してますから、行って来て下さい」
 「そうだな・・・難しい案件だったし、瑞穂がそういうなら・・・悪いけど頼むよ」
 「はい、行ってらっしゃい」
 外に出て車に乗る瑠宇斗を見送って、店に戻った。

 すると、目の前に強志が椅子に座っていた。
 「えっ?どうしてここに?」
 「どうしてここにって、いつもの事だろ?」
 「じゃなくて、ホテルに来てくれって言うから、瑠宇斗さん、今、車でホテルに向かいましたよ?」
 「何のことだ?俺はそんな事言ってないぞ?」
 「でもさっき部下の方が・・・」
 「俺が部下に瑠宇斗の居場所を教えるわけがない」
 「え・・・じゃあ、さっきの女性は・・・」
 「女性?もしかしてこの女か?」
 強志のスマホの画面に映し出された女性は、まさしくさっき訪ねて来た人だった。
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