あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「・・・はい、そうです。部下さんですよね?」
 「いや、違う・・・香魅(こうみ)といって、魔性のあやかしだ。しばらく大人しかったが、最近、姿を変えてまた男を騙しているって聞いて、捜していたんだ。そいつの妖力は、目を見るだけで男は身動きが出来ず、放つ誘惑の香りで理性を失い虜になる。そして骨抜きにするのを楽しんでいるんだ。あやかしの瑠宇斗には妖力が効かず、まったく相手にされなかったから、もしかして・・・」
 「そう言えば前に聞いたことが・・・あの、もしかしてって・・・」
 「どこかで瑠宇斗が人間になった話を聞いて、自分の屈辱を果たしに来たのかもしれない」
 「人間に化けて瑠宇斗さんに近づいて・・・どうしよう・・・」
 「急がないと!」
 「わ、私も連れて行って下さい!」
 「俺なら直ぐに行けるから待ってろ!」
 「嫌です!私が言ってしまったから瑠宇斗さんが・・・」
 「・・・車で行くぞ!急げ」
 2人は急いでホテルに向かった。

 🐺🐺🐺
 瑠宇斗がフロントの前に行くと、1人の女性が向かって歩いて来た。
 「神元瑠宇斗さんですか?」
 「はい、あなたが豪田さんの部下の方で?」
 「私、部下の色根(しきね)と申します」
 「色根さん、豪田さんはどちらにいますか?」
 「取引先の方と部屋で待っています。ご案内しますのでどうぞこちらへ」
 色根は瑠宇斗に背を向け、案内しながらほくそ笑んでいた。
 『この時を待ってたわ・・・私に唯一汚点をつけた存在・・・あやかしも人間も私に墜ちなかった者はいないのよ。そう、あなた以外はね・・・力が無い今・・・楽しませてもらうわ。そして全てを失いなさい』
 「どうぞ、この部屋です」
 「ありがとう」
 一緒に部屋に入ると、そこにはもちろん誰もいない。
 「豪田さん達は?」
 「おかしいわねぇ、どこに行かれたのかしら」
 瑠宇斗が振り返ると、目の前に色根が立っていた。
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