あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【強志の正体】
 香魅の一件から、1週間後。
 強志が仕事の打ち合わせで、瑠宇斗を訪ねてときよ屋に来ていた。
 「瑠宇斗。来週の花火大会、3人で行くぞ!」
 「何を突然・・・去年、雨で中止になったし、夫婦として初めての花火大会ですよ。2人で行くからダメに決まってるでしょ?」
 「俺も初めてだぞ?」
 「ダメと言ったらダメです。それより、いつからここが会議室になったんですか?強志さん」
 「つべこべ言ってないで、一緒に考えてくれよ」
 いつもの通り、瑠宇斗との掛け合いから始まる打ち合わせを、強志はニコニコして楽しんでいた。

 「こんにちは」
 その時、普段、ときよ屋を訪れる人達とかけ離れた銀縁眼鏡をかけ、濃紺のビジネススーツを着た真面目そうな男性が入って来た。
 「いらっしゃいませ!」
 突然入って来た真面目そうな男性は、脇目も振らず強志の横に立ち、
 「豪火之神様・・・ですよね」
 と、静かに問いかけた。
 「灯樹(とうき)・・・どうしてお前がここに?・・・」
 「出雲に行く途中にとても懐かしい気を感じて・・・お会い出来る事を願っておりました・・・ようやく願いが叶い感激しております」
 「豪火之神様?どういうことですか、強志さん・・・」
 「・・・もう、昔に捨てた名前だから、お前達に言う必要も無いと思っていたんだが・・・俺は『豪火山』の神であり、癒怒之神は親友だ」
 瑠宇斗は直ぐに片膝を地に着け、頭を下げた。
 「失礼致しました。偉大な神に俺は失礼なことばかり・・・申し訳ありません」
 「だーかーらー!そういうのが嫌だったから黙っていたんだ!俺はお前の叔父の強志で、お前達は人間界でいう家族同然なんだ!いいな!今まで通りでいろよ!」
 「ですが・・・」
 「もうお前は神使じゃない!ただの人間だ!・・・あっ、いや、ただの人間ではないんだが・・・ともかくだ!今まで通りに接しろ!これは神の命令だ!」
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