あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「豪火之神様」
 「今は豪田強志なんだ。2人は強志と呼んでるから灯樹もそうしろ」
 「いえ、私はお支えする神使ですから・・・豪火山には戻らないのですか?」
 「・・・俺は今、人間界の調査で忙しいんだ」
 「そうですか・・・」
 灯樹は残念そうに目を伏せた。
 「失礼ですが、灯樹さんはあやかしでは無さそうですけど・・・」
 「私は、豪火之神様が生み出された神使です。今は、時々ですが人間界にも紛れて務めを果たしています」
 「いい神使だぞ。瑠宇斗みたいに生意気じゃないし」
 「俺も神様には忠実ですよ。強志さんは叔父さんですから」
 「そうだそうだ!お前は俺の家族だ!もう息子になれっ!」
 瑞穂は強志の扱いに慣れた瑠宇斗と、それに踊らされている強志を見て、いつもの事だから灯樹にも慣れてもらおうと、止めることなく放っておくことにした。

 「瑠宇斗さん・・・あなたのことは、とても優秀な神使だと、方々の神々や神使から噂を聞いていました」
 「もう神使ではないですけど・・・」
 「瑠宇斗は人間になった・・・というよりは戻ったという方が正しい。そして、彼女、瑞穂ちゃんと結婚したんだ」
 「そうですか・・・それで豪火之神様の身内となり、お仕事も一緒にされているということですね?」
 「灯樹さん、身内はあっていますが、仕事は一緒にしていません。手伝わされています」
 「違うぞ?右腕として育てていると言ってくれ」
 「間違えました。こき使われている方が正しかったです」
 今まで見たことが無い、瑠宇斗に対する強志の笑顔と話し方に、灯樹の笑顔が引きつる。
 『お前のことは、次の神に頼んでいるから』と、急に目の前からいなくなってから、ずっと捜していた強志に会えたことに喜んでいた灯樹の心は、本当の親子のように何でも言い合える2人のやり取りを見て、瑠宇斗に対し、気づかないうちに嫉妬心が芽生え始めた。
 「強志さん。そろそろ、私は帰ります。またお会いしたいのですが」
 「ここに来たら、また会えるさ」
 「・・・分かりました。何かお力添え出来る事があれば、お申し付けください。いつでも呼んでいただければ、駆けつけます」
 「俺のことは気にするな。今は瑠宇斗がいるから何も問題ない。灯樹は灯樹で頑張れよ」
 その言葉は、灯樹の嫉妬心を増幅さえ、本人も気づかないうちに、心に闇が少しずつ渦巻くように蝕み始めたのだった・・・
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