あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 夕方になり、様子が変わらない瑞穂を心配して強志が店を訪れた。
 「術はそのままか?」
 「はい、登喜代さんが様子を見に行ってくれてましたが、変化はないようで・・・」
 「こんばんは。豪火之神様、いらっしゃいますか?」
 花火大会があるから強志が来ると聞いていた灯樹が、店に入って来た。
 「よぉ、灯樹・・・悪いが、昨日お前が帰ってから、色々取り込んでいてな」
 「えっ?どうされましたか?私がお力になれることがあれば、仰って下さい」
 その時、2階から瑞穂が下りて来た。
 「やっぱり・・・会いたかった・・・」
 笑顔を見せた瑞穂は、瑠宇斗を通り過ぎ、入り口に立っている灯樹に抱きついた。
 「瑞穂・・・さん?」
 「まさか・・・灯樹!どういうことだ!」
 瑠宇斗と強志が目の前のことに驚いている以上に、灯樹は突然の出来事に焦っていた。
 「わ、私にも分かりません!瑞穂さん、離れてください!」
 「何言ってるの?私達、夫婦ってみんな知ってるよ?それにいつもなら誰がいても、抱きしめてくれるのに」
 「ち、違いますよ!あなたのご主人は瑠宇斗さんで」
 「もぉ!灯樹さんまでそんな冗談言って!」
 「瑞穂・・・俺との今までのこと、忘れているのか?」
 「瑠宇斗さんとのこと?覚えていますよ。一緒にずっと働いていますから」
 「初めて一緒に花火大会へ行ったことは?」
 「花火大会・・・?あっ、あの時、私が1人で暗がりで山に登って滑りそうになった時、助けてくれた・・・」
 「そうだ・・・喜見町にも1泊旅行に行っただろ?」
 「あの時は色々あったけど・・・でも楽しかった・・・」
 「結婚式はときよ屋でしたんだ・・・」
 「たくさんの人に祝福されて・・・とても嬉しかった・・・幸せ過ぎて・・・」
 「覚えているか?その時、誰が隣にいたか・・・」
 「もちろんです!何、変なこと聞くんですか、瑠宇斗さん。いつも隣にいたのは、灯樹さんですよ。ねぇ、灯樹さん」
 瑞穂は灯樹の腕を組んだ。
< 171 / 192 >

この作品をシェア

pagetop