あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「いえ・・・それは私では・・・」
 「瑞穂ちゃん、申し訳ない。灯樹と瑠宇斗と俺で、これから大事な話があるんだ。席を外してくれるか?」
 「はい・・・いいですけど・・・じゃあ、また後で・・・灯樹さん」
 灯樹に抱きつく瑞穂を見た瞬間、駆け寄ろうとした瑠宇斗を強志が抑えた。そして、瑞穂は灯樹から離れると、瑠宇斗の隣を通り過ぎ、2階へ上がって行った。

 「どういうことだっ!灯樹!」
 「わ、私は何も・・・まったく身に覚えがありません!」
 「瑞穂ちゃんは、神か神に近い者の力で瑠宇斗との過去が消えている。そして、瑠宇斗との出来事がお前にすり替わっている。術をかけたのはお前しかいない!」
 「本当に、本当に身に覚えが無いんです!信じてください!私に瑞穂さんへの思いはありません!」
 「・・・本当か?俺は例えお前でも、2人を悲しませる嘘は許さない。もし嘘なら・・・分かってるな。お前は俺の神使だ。俺が作りだしたもの・・・責任がある。消し去らなければならない」
 「豪火之神様・・・私は誓ってそのような事はしておりません」
 強志は灯樹を見て、嘘をついてはいないことは分かった。
 「では、どうしてだ・・・」

 ようやく灯樹と会えたのに、いつまで立っても声を掛けないことにしびれを切らした瑞穂が、1階に下りて来た。
 「灯樹さん、まだですか?そろそろ花火大会が始まりますよ。去年は開催されなかったから、今年は楽しみにしてたんですから」
 「私はあなたのご主人ではありません。あなたの愛するご主人は瑠宇斗さんです」
 「さっきから、何を言ってるの?もしかして・・・私のこと、嫌いになったの?」
 「そうではありません。私はあなたに対して愛情が無いということです」
 「愛情が無いって・・・どうして・・・あんなに愛し合っていたのに!灯樹さんのばかっ!」
 外に駆け出した瑞穂は山の方へ駆け出した。
 「瑞穂!」
 「瑞穂さん!」
 その時、灯樹の肩を強志が掴み、追いかけようとしたのを止めた。
 「瑠宇斗に任せろ。それよりも・・・灯樹、お前の話を聞かせろ・・・」
 「・・・もしかして・・・思い当たるのは1つしかありません・・・」
 灯樹は昨日抱いていた思いを、強志に話し出した。
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