あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 🐺🐺🐺
 瑠宇斗は人の姿となり、妖力でまとった人間の洋服をマジマジと見ていた。
 破れては母が繕ってくれたボロボロの着物を着ていたあの頃・・・
 「今の時代を見たら、母さんびっくりするだろうな・・・」
 母と生きたこの町と山を何とか救わないと・・・

 妖力では色々なものを纏えるが、瑠宇斗は白のシャツに黒のパンツを身に纏い、ときよ屋へ向かった。
 「こんにちは」
 店に響く、若者の声に奥から登喜代が顔を覗かせた。
 「はぁーい。あらっ、これは珍しいお客様ね?」
 「突然ですが、こちらでお仕事をさせていただきたいと」
 「ちょっと待ってね」
 登喜代はそういう言うと、お店の前の看板を『準備中』にして、「さぁ、どうぞ」と瑠宇斗を2階の部屋に案内した。
 「そこに座って」
 突然来た若い男性客を部屋にあげて、笑顔で受け入れる登喜代に、瑠宇斗は少し戸惑っていた。
 ただ毎日、山と町と人々を守ることだけに過ごして来た長い時間。人と直接触れ合うことは無かった。
 皆が幸せに過ごしている様子を見ながら、自分が生きていたらと人間のことを観察していたが、いざ自分が実際に生活をするとなると、不思議な気分である。
 「お名前は?おいくつなの?」
 「神元瑠宇斗です。27です」
 「瑠宇斗君・・・人じゃないわね?」
 「えっ・・・」
 「私ね、小さい頃から霊感があるのよ。良いか悪いかも分かるの。瑠宇斗君から凄く綺麗なオーラを感じるわ。だから、安心して」
 「そうでしたか・・・驚かせてすみません。色々と訳がありお話することは出来ませんが、ここで山や人々を守らせていただけませんか?ご迷惑はお掛けしません」
 「・・・合格よ!明日から来れる?」
 「あっ、はい、大丈夫です。ありがとうございます」
 「制服は用意するわ!私好みでいいかしら?」
 「はい、お任せします」
 「では決まりね!じゃあ、早速明日から来てね!あっ、今は買い物に出掛けて居ないけど、ちょうど孫娘が東京から来ているのよ。でも、瑠宇斗君の本当の姿は言わないから心配しないで」
 「先日、山で迷ってた子か・・・」
 「今、何か言った?」
 「あっ、いえ、助かります。では明日から宜しくお願いします」
 こうしてあやかし銀狼の瑠宇斗は、癒怒之神の命を遂行するために、ときよ屋の従業員として働くこととなったのだった。
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