あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 もし、ふみの子孫が見つからなければ、瑞穂がここに戻った時には、この美しい山の風景は、見ることができないだろう。
 「瑞穂・・・俺、頑張るよ」
 ふみを見つける意味の『頑張るよ』だったが、瑞穂は真剣に仕事を頑張ってくれるんだと勘違いして、信頼したのと同時に、やっぱり何してもイケメンな瑠宇斗にドキドキしたのとで、また熱が上がってしまった。
 「さ、先にお店に行きますね」
 動揺を悟られないように1階に下りて、心を落ち着かせるため外に出て空を見上げた。
 「それは凄く寂しいな・・・か」
 嘘でも嬉しい・・・瑠宇斗に対しても自分の将来に対しても心揺らぐ瑞穂は、気持ちの整理がつかず、空を見上げて深呼吸した。

 「あのー、お店開いてますか?」
 声を掛けられた方を見ると、男の子と両親との3人家族が立っていた。
 「はい、どうぞ!」
 親子はテーブル席に座り、仲睦まじく楽しそうに話している。
 「こちらは初めてですか?」
 「はい。子供に山からの景色を見せてあげようと思いましてね」
 「僕ね、1年生なの。お山の写真、いっぱい撮るんだ!」
 「そぉ!良いわね!たくさん撮ってね!」
 「うん!パパ、ママ!早く行こっ!」
 「はいはい。すみません、お持ち帰り用のお団子を3パックください」
 「はい、お待ち下さいね!」
 瑞穂は注文のお団子を取りに、登喜代がいる厨房に向かった。
 「坊や、山は好きか?」
 そこに着替えを終えた瑠宇斗が、2階から下りて来て、男の子と目線が合うように、かがんで語り掛けた。
 「うん、すーっごく大きな木がいっぱいあるし、お花も綺麗だし、大好き!」
 「そうか・・・ありがとう」
 瑠宇斗はその言葉に胸が熱くなり、山を守るという自分の使命感が更に湧き上がった。
 「お待たせしました!作りたてなので美味しいですよ」
 「ゆう、お団子大好き!」
 「ゆうくんっていうんだね!美味しいわよ」
 「ありがとう!お姉ちゃん!」
 3人は手を振って、山道を登って行った。
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