あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「そうだな。元に戻る度に服を破いていたら、さすがにおかしいと思われるぞ」
 「はい、登喜代さんに迷惑をかけるわけにはいきませんしね」
 「どうだ?人間の世界は?」
 「人間の生活は、時代の流れと共にずっと見て来ましたが、いざ人間として過ごすとなると戸惑いも多くて」
 「12年しか人として過ごしていないんだ。今の時代を楽しめよ。あぁ、でも、任務は忘れないように」
 「はい。ではときよ屋へ戻ります」
 瑠宇斗は急いでときよ屋へ向かった。

 🐺🐺🐺
 「瑠宇斗さん!」
 「瑞穂、ただいま。申し訳ないんだが、これ・・・」
 破れた服を瑞穂に見せると、目を大きく見開き、口がアワワッとびっくりしていた。
 「な、何があったんですか!か、体は大丈夫ですかっ!」
 「あぁ、山で転んだら、あちこちの枝に引っかかって、破れてしまったんだ」
 どう転んだらシャツもズボンもこんなに引きちぎれたように破れるのかと、瑞穂は突っ込みたくなったが、瑠宇斗本人は無傷そうで、深く追求しなかった。
 「ケガは無さそうですね。良かった・・・急に飛び出して行っちゃったまま帰って来ないから、凄く心配したんですよ」
 こんなに自分の事を心配してくれる人間は、母以来か・・・瑠宇斗はそっと瑞穂を抱きしめた。
 「心配してくれてありがとう、瑞穂」
 瑠宇斗は体を離し、瑞穂を見つめた。
 「やっぱり調子が悪いのか?また顔が赤いぞ?」
 「だ、誰のせいだと思ってるんですか!と、登喜ばぁが一緒に買い物に行きたいって待ってますよ!」
 瑞穂は胸の高まりを悟られないように、声を大にして叫んだ。
 「それは申し訳ない。店は頼むぞ、瑞穂」
 瑠宇斗は笑顔で瑞穂の頭を撫でて、奥に入っていった。

 あれ・・・そうか・・・さっきの男の子にも優しく抱擁して、頭を撫でていた・・・子供と同じ扱い・・・きっと私は女性としては見られてないんだ・・・
 ドキドキしながらも瑞穂は胸が締め付けられ、初めての恋に戸惑うのだった。
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