あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「人間の姿になってからふぬけになったんじゃないか?所詮、あやかしといいながら神使で、半端もののあやかしだもんな?」
 「試してみるか?」
 「俺は狸より強いぞ」
 イタチは周りの空気を凝縮させ、突風に乗せて瑠宇斗にめがけて投げた。
 空気の固まりは、瑠宇斗の横を一瞬で駆け抜け、当たった草は、真っ二つに切れていた。
 「どうだ?驚いて1歩も動けなかったようだな。今は狙いを外したが、次は当てる」
 イタチは気づいてなかった。瑠宇斗が一瞬で攻撃を避けていたことに・・・
 「早くて驚いたよ」
 「そうだろ、そうだろ。だが次は仕留める」
 「悪いな。俺も待たせている人がいるから、お遊びは終りだ」
 そう言った途端、あやかし銀狼の姿に戻った瑠宇斗は、一瞬のうちでイタチの目の前に動いたかと思うと、大きな尻尾をイタチの体に巻き付け、首に歯を立てた。
 「弱くなったらしいな、この俺が・・・」
 「い、い、いえ、とんでもない。狸のやつがそう言ったからで・・・」
 「なんだ、さっきまでの勢いはどうした?」
 「お、お許しを!全て狸が悪いのでございます」
 「信じて喧嘩をふっかけてくるってことは、俺に対して敵意があるからだろ?」
 「そ、それは・・・」
 「もう、2度とあの店にも町にもちょっかいを出すな。奥で大人しく狸と遊んでろ。いいな?」
 「は、はい!」
 「次に悪さをした時は・・・絶対に許さない」
 「わ、分かりました!ひ、ひぇー!!」
 恐怖で叫びながら、イタチはそのまま山の奥へと消えて行った。
 「さぁ・・・瑞穂の元に戻らないと・・・きっと心配してるだろうな・・・」
 銀狼のまま駆け出し、ひとけのいないところで人間の姿に戻ると、店に戻った。心配していた瑞穂は瑠宇斗の姿を見てホッとして、何事も無く、その日は仕事を終えた。
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