あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「瑞穂。俺は帰るが困ったことがあったら、直ぐに俺の名前を叫ぶんだ。いいな?」
 スマホを持たない瑠宇斗に連絡するすべはない。それでも瑠宇斗なら自分を助けに来てくれると、何故か安心感が湧いた。
 「はい」
 「じゃあ、また明日」
 「お疲れ様でした」
 瑠宇斗は心配しながらも、イタチはあれだけ怖がらせたから来ないだろうと、そのまま山へ帰って行った。

 そしてその夜・・・
 瑞穂が寝静まった頃、窓がガタガタッと大きな音をたてると、瑞穂の周りだけをグルグル回るように、突風が吹き荒れだした。
 「さぁ!昼間の分も合わせて、怖がらせてやるっ!ハハハッ!恨むなら銀狼を恨むんだな!」
 昼間の鬱憤を晴らすため、イタチは部屋に突風を起こした。
 「うーん・・・えっ、な、何?キャーッ!瑠宇斗さん!助けて!」
 瑞穂が叫ぶと、目の前にあやかし銀狼の姿で瑠宇斗が現れた。当然、瑞穂にあやかし銀狼の瑠宇斗は見えず、耳を塞ぎ布団を被って、「早く目が覚めてー」と夢の中だと思って叫んでいた。瑞穂が寝ぼけている中、瑠宇斗は歯を剥き出し、イタチと対峙して威嚇した。
 「次は許さないと言ったはずだぞ。それも俺ではなく、ここで悪さをするなんて絶対に許さん!」
 「い、いえ、ちょっとしたイタズラで・・・ほらっ、怪我もしてないでしょ?」
 「問答無用。お前は神の審判を受けろ!」
 瑠宇斗が光を放つと、そこに緑運が現れた。
 「緑運さん、お呼び立てしてすみません。お願いしていいですか?」
 「あぁ、もちろんだ。来い」
 「た、ただのイタズラです!お許しを!わぁーっ!」
 イタチを咥えた緑運は、闇夜へと消えていった。瑠宇斗は人の姿に戻り、震えて布団に包まる瑞穂を見て、今すぐ抱きしめたい衝動に駆られたが、得体のしれない感情を抑え声をかけた。
 「瑞穂、瑞穂?」
 瑞穂はあまりの怖さで瑠宇斗の声は幻聴だと思い、布団をしっかり握り締める。
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