あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「凄い人だなぁ・・・」
 瑠宇斗はあやかしの姿で町に出る。人間が対応出来ないもの達が悪さをしている時や自然の乱れを観察するためだ。ゆっくりと店を見て歩くなんてことは、今まで無かった。
 「瑞穂、少し歩かないか?」
 「歩きたいです。ここの通り、新しいお店も出来たから見たかったんです」
 景観を損なわないように建てられた落ちついたお店が並んでいた。
 「瑠宇斗さん、あのお店、寄ってもいいですか?」
 「いいよ」
 瑞穂達が入ったのは、『キゼラ』という雑貨屋さんだった。
 「へぇー、ここは落ち着くなぁ・・・」
 自然の素材で作られた雑貨が置いているお店は、瑠宇斗にとっては心地良かった。
 「わぁ・・・こんなお店があったんだ・・・」
 2人で店内を回っていると、『季節限定桜コレクション』というコーナーがあった。
 「桜って、何しても可愛い!」
 瑞穂の目に止まったのは、いくつかの小さな桜が連なったピンクゴールドのネックレスだった。
 欲しい・・・でも、父の徳次が、登喜代にお世話になる立場だから、バイト代を貰わない約束で、ここにいることを許してもらったから、今までに貯めたバイト代で切り盛りしている。贅沢は出来ない。にらめっこしたあと、ため息をついて、他の物を見て回った。奥に行くと、木で作ったネックレス、髪留めやちりめん細工のストラップも並んでいた。見ているだけでも、楽しくなる。
 「瑞穂、そろそろ行こうか」
 「あっ、もうこんな時間なんだ」
 2人は店を出て、色々なお店を見ながら、他愛もない会話をする。
 もし、他の人がみたら、恋人同士に見えるかなぁ・・・瑞穂はこのひとときだけでもと、楽しんでいた。
 「瑞穂、少し寄りたい所があるから、先にバス停で待っててくれるか?」
 「は、はい」
 瑠宇斗は今来た道を走って戻って行った。
 「何か気になるお店でもあったのかなぁ?さぁ、瑠宇斗さんに言われた通り、先にバス停で待ってよ」
 瑞穂は瑠宇斗と過ごした楽しい時間を思い出し、鼻歌交じりでバス停へ向かった。
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