あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 しばらくして戻って来た瑠宇斗と バスで隣同士に座り、通り過ぎる景色を見ながら他愛もない話をする。まだまだ降りるバス停に着いて欲しくないと思っても、バスは時間通りに到着した。
 バス停からゆっくり歩いて、ようやく一緒に見上げた桜の木に辿り着いた時、
 「瑞穂、ちょっと待って」
 そう言うと、瑠宇斗がポケットから小さな袋を出した。
 「いつも世話になってるから、俺からのプレゼントだ」
 「えっ?・・・・いいんですか?」
 「あぁ、大切にして欲しい」
 「も、もちろんです!ありがとうございます!」
 「さぁ、仕事だ」
 「私、着替えてきます」
 瑞穂は、2階にあがり、着替えそっちのけで紙袋を開けた。中には小さな箱が入っていて、開けると・・・
 「これって、さっきの・・・」
 手のひらに乗せたのは、お店で見ていた桜のペンダント。
 もしかして、少し寄りたい所って、これを買うために・・・胸がいっぱいになっていると、箱の中に小さなカードが入っているのを見つけた。
 『桜の花言葉』の題目で、桜の花言葉に関する説明がされていた。
 そして、『最後の花言葉を伝えます~私を忘れないで~』そう括られていた。
 瑞穂は桜の木の下の話を思い出し、桜のペンダントの意味が胸に突き刺さる。急いで階段を駆け下りた。
 「瑠宇斗さん!これって・・・」
 「気に入ってくれたか?じっと見ていたから、欲しかったんだろと思って」
 「あの・・・中のカードは?」
 「カードなんて知らないよ」
 「瑠宇斗さん、桜の花言葉って知ってますか?」
 「・・・花言葉?どういうこと?」
 「いえ・・・あ、ありがとうございます!凄く嬉しいです。大切にしますね」
 「ドジだから、無くすなよ」
 「ひ、ひどいです!ドジじゃないし、絶対に無くしません!」
 「あら、何?喧嘩?」
 帰って来た登喜代が玄関から顔を覗かせた。
 「お、お帰りなさい!喧嘩なんてしてないから」
 「それなら良かったわ。ほらっ、お店を開けるわよ」
 「俺、2階に荷物取りに行きます」
 瑠宇斗は店の備品を取るために、2階に上がって行った。

 瑠宇斗が2階の窓を開けると、2人で見た桜が見える。
 「私を忘れないで・・・か」
 本当は知っているよ、瑞穂。心で呟いた瑠宇斗は、初めて抱く得体のしれない胸の苦しみを感じていた。
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