あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「佳美さんからです。一緒に過ごした時間はとても楽しかった。そして、辛い思いをさせてごめんね。でも、幸せだったよ。だから、もう悲しまないでと・・・」
 「無理だよ・・・彼女は俺を悲しませないように断ったのに・・・好きでいてくれたのに・・・僕は・・・病に立ち向かおうとした彼女に冷たい言葉を・・・最低だ・・・」
 「あなたは生きなければいけない。亡くなった佳美さんの気持ちを無駄にしてはいけない」
 「佳美・・・」
 「佳美さんがずっと彷徨っていていいんですか?彼女は黄泉の国に行き、また蘇りを待つ。だけど、あなたのことが気になって行けませんよ?悪霊になったり悪いあやかしになるかもしれません」
 「そ、それは・・・」
 「あなたに本当のことを言わない選択をした佳美さんの気持ちを踏みにじるのですか?1番辛かったのは佳美さんです。その覚悟を無駄にするんですか?」
 「・・・佳美・・・佳美は、僕を許してくれてますか?」
 「あなたの幸せを願っています」
 その言葉を聞き、空を見上げると大きく深呼吸をして、
 「佳美・・・好きになってくれてありがとう・・・」
 その言葉を聞いた佳美は、涙を流しながらも笑顔を見せた。
 「彼女も楽しかったと。もう、自分のことは思い出として、前に進んで欲しいと言ってますよ」
 「うん・・・僕・・・前に進むよ」
 佳美は安堵の笑顔で『さようなら・・・』と、そっと抱きついた。
 そして、男性から離れると、『お願いがあります・・・』と、消える寸前に瑠宇斗に願いを伝え、瑠宇斗が頷くと、スーッっと姿が消えていった。
 「・・・佳美さんはいなくなりました。俺もそろそろ失礼します」
 「あ、あの・・・あなたのお名前は?」
 「神元瑠宇斗です。癒怒山の山道入り口にあるときよ屋でバイトしています」
 「あぁ、ときよ屋さんか・・・懐かしい。小さい頃、両親と行ったことがあるよ。ありがとう、神元さん。僕は新河和久(あらかわ かずひさ 29歳)といいます。この町の自然をモチーフにしたアクセサリーや色々な雑貨を取り扱う『キゼラ』という店の店長をしてます」
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