あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
 「キゼラさん・・・あっ、先日、そこでネックレスを買ったんですよ!とても素敵なお店ですよね」
 「僕が留守にしてた時に、来てくださったんですね。ありがとうございます。店の名前は、黄色のゼラニウムから付けました。『偶然の出逢い』という花言葉があるとかで、偶然の出逢いを大切にしたいと、僕が父から受け継いだ時に名付けたんです」
 「素敵な名前ですね。また、お店に伺います。うちのお店にも団子を食べに来て下さい。美味しいですよ」
 「はい、是非。神元さん」
 「瑠宇斗と呼んで下さい。皆、そう呼びますから。買い物の途中なんで、そろそろ戻らないと。それではまた」
 瑠宇斗は砂糖を待っている登喜代に叱られると、バスに乗るのも忘れて駆け出して行った
 「凄い・・・なんて早さだ・・・それに、ときよ屋までは結構距離があるのに・・・ちょっと変わった人だけど、いい人だったなぁ・・・」
 新河は、瑠宇斗を見送ったあと、川を見つめた。
 「佳美の分まで頑張らないとな・・・ありがとう。さよなら、佳美」
 空を見上げた新河は背筋を伸ばし、川を背に力強く歩き出した。

 新河と別れたあと、裏道を駆け抜け、あっという間に着いて店に入ると、
 「瑠宇斗さん、遅かったですね?」
 瑞穂は仁王立ちして瑠宇斗を出迎えた。
 「あ、あぁ・・・すまない。少し寄り道してた」
 「本当は・・・道に迷っていた・・・とか?」
 「・・・帰り道に色々あったんだ」
 「いいんですよ、本当は恥ずかしくて言えないんでしょ?!いつも完璧な瑠宇斗さんでも、そんなことあると凄く嬉しい!」
 瑞穂がはしゃぐと瑠宇斗はかがんで、瑞穂の顔の直ぐ前に近づいた。
 「ドジな瑞穂と一緒にするなよ」
 瑞穂の頭の上に手を置き、目の前でいたずらっ子のように微笑む瑠宇斗に、胸を射抜かれ、ドキドキの熱が体中を駆け巡る。
 「あ、あ、あの・・・と、登喜ばぁが待ってますよ」
 「そうだな。登喜代さん、すみません」
 瑠宇斗は砂糖を片手に奥へ入って行った。
 まだドキドキが止まらない瑞穂は、その背中を見つめながら、今度は絶対一緒に行くんだから!と堅く誓った。
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