あやかし銀狼に恋をして〜じれ恋はやがて溺愛に包まれる
【ライバルは女妖狐】
瑠宇斗が山に行くと、懐かしい妖気が漂い、あやかしのもとに向かうと、そこには狐のあやかしが優雅に大きな尻尾を揺らしていた。
「久しぶりね、瑠宇斗」
「百花(ももか)か・・・どうした、こんなところで」
「あらっ、私達の仲なのに冷たい」
「お前は喜見之神(きみのかみ)様の使いだろ?」
喜見之神は、癒怒町から電車で西へ向かって、2つ目の駅で降りた町、喜見町にある「喜見山(きみやま)」の守り神だ。喜見町には大きな湖もある。
「うちに狸のあやかしが来てね。何処から来たのか聞いたら、瑠宇斗に追い出されたっていうのよね。ダメじゃない、弱い者を虐めちゃ」
「あぁ、奴か。百花のところに行ったんだな。それは悪かった。悪さをしたから少し懲らしめただけだ。何かしたか?」
「ううん。直ぐ姿を消したわ」
「だったら、何しに来た?文句を言いに来たわけじゃないんだろ?」
「瑠宇斗が人として仕事してるって聞いたから来てみたのよ」
「癒怒之神様の命でな」
「そう・・・私は人型の姿でよく紛れ込んでるから、困ったことがあったら教えるわよ」
「結構だ。俺は忙しいんだ」
「あら、そうなの?それは失礼したわね。じゃあ、またね」
百花はクルッと回転すると、何処かに消えてしまった。
「まったく、面倒なやつが次々と・・・こっちはそれどころじゃないんだ」
残された時間はあと8か月・・・何処にいるのか検討もつかない。
夜になると、日本全国を走り回り、紫と白の光を纏う者の気を探したが、見つからない。
希望はあるのか・・・いや、捜すしかない。この山が朽ちてしまえば、町の人はどうなるんだ・・・ときよ屋も無くなる。そうすれば・・・瑞穂の泣き顔は見たく無い。
「もう少しだけ捜してから店に戻るか・・・」
瑠宇斗はあやかしに戻り、南の方角へ向かって走り出した。
その頃、ときよ屋では・・・